雪で競うは子どもかな | ナノ 助作と甚内



「おやおや、これは見事な雪細工だ。」
玄関回りの雪掻きを終えた助作は、部屋に戻る途中で庭に作られた雪細工を見つけた。
物珍しいそうに遠目で見ると、どんな物なのか気になったのだろう。廊下から庭へと降りた。
「甚内見てごらん、雪の城だ。」
雪掻きに同行していた甚内へと話を振る。甚内はというと、助作が戻るまで待っていようと思っていたようだった。
しかし、助作が甚内も見てみろ、と手招きをするので甚内は仕方なく庭へ降り立った。

近くで見ると、確かに細かな部分まで丁寧に作られた美しい城だった。
「多分、孫六か虎之助辺りが作ったんじゃないか?」
あの二人は手先が器用だからな、と甚内に助作はそうかもね、とぞんざいな返事をして手先を擦り合わせる。手先を暖めようと吐いた白い息は、暖めるという機能を果たさずに冷たい空気に溶けた。
「見た目は見事だが防備が薄い。籠城には向いてないな。」
もう少し石垣の作りを…と真剣に分析し始めた甚内に、助作は思わず吹き出した。

「な、何だ?」
「い、いや、そんな雪遊びで作られたものに、っ、そんな本気になんなくてもっ、あはっあはははっ!」

助作は腹を抱えて笑い、甚内の顔がみるみる赤くなる。
「ーっ!笑うな助作!」
とっさに掴んだ雪を助作へ投げつける。助作は飛んできた雪をひらりと避けると、不敵な笑みを浮かべた。
そんな態度を見てカチンと来たのだろう。甚内の心に火が点いた。次々に雪玉をこしらえ、助作へと投げつけた。
助作も避けるばかりでなく、雪玉をこしらえ応戦。いつしか二人の白熱した雪合戦へと展開していった。


(雪上の狐と呼ばれた私を甘く見るなよ!)
(なんだその異名!)



---------------
雪合戦ではしゃぐ二人。

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -