04/02 Tue 01:28:29
「嘘?」
小西の言葉を反芻する。 そういえば、昼前、小西が周囲にああだこうだと、様々なことを吹聴していたことを思い出した。 俺も何か言われたことは思い出したが、うっとおしいので聞き流していたため、何を言われたかまでは思い出せなかった。 嘘と言われても、何が嘘なのかさっぱりわからない。 「せや。……もしかして信じたんか? あんな話、嘘にきまっとるやろ、ばーか。」 嫌味のない、年に似合わぬ子供のような悪戯っぽい笑顔を浮かべる。 いつもの作り笑顔と違うその笑みに、少し驚いた。 「なんだ、お前そういう顔もできるんじゃないか」 「は?」 「笑った顔。そっちの方がいいぞ。」 そういってやると、ぱちくりと目を瞬かせる。 それから、小西の顔は朱を落としたかのように、どんどん赤く染まっていった。 「よ……よけいなお世話や!!」 捨て台詞を吐き、目くじらと足音を立てて去っていった。 そんな小西の姿は、なんだか自分よりずっと子どものように見え、思わずくすりと笑みがこぼれた。
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