07
そして、現在に至る。
「ねー、さっきの魔法のタネ明かしをしてよ」
相変わらず楽しそうに後をついてくるので、わたしはたまらず口をひらく。
『それ教えたらさっきのも許してくれるんですか』
「さっきの? ああ、俺の傘をうばったこと?」
わたしがこくんと頷くと、表情を変えずにこういった。
「それとこれとは話が別だね」
表情は変わらないはずなのに、この人をとりまく雰囲気が瞬時に変わった。
「許してあげるには、そうだな・・・君の一番大切なものをくれよ」
「たとえば、命、とか」
ゾクリ、と背筋が凍りつく。
言葉を失ったわたしをみて、お兄さんはぷっと吹き出す。
「安心しなよ。命っていっても殺しはしないよ。俺の付き人になりなよ」
「この街から出たいんだろ?」
そういって目を開けたお兄さんの瞳の奥に、宇宙が見えた。
『・・・はい』
ちっぽけな街から見上げた大きな空。
それよりもはるかに大きな、宇宙への一歩。
こうしてわたしの世界は、突然広がった。
(そういえばアンタ名前は?)
(月子です)
(そう、俺のことは神威でいいよ)
(えっいいの?じゃあよろしく神威!)
(・・・まず口の利き方を教えなきゃいけないみたいだね)
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