05




バッと勢いよくお兄さんの傘を奪うと、わたしは走り出した。








「うーん、なかなかやっかいなことしてくれるね」








振り向くとお兄さんはポケットから取り出した包帯を体に巻きながら、笑っていた。










(なんだ、もっと必死で追いかけてくると思ったのに)








内心少しつまらないなと思いつつ、わたしは近くにあったターミナルに入りEVに乗ると、最上階のボタンを押す。










ここまでくれば、もう追ってこないだろう。











乱れた息を整えながら、わたしは最上階へ到着するのを待った。






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