04
それはついさきほどのこと。
ほんの少しの興味と、ほんの少しの好奇心。
わたしは、目の前を通り過ぎた桃色に声をかけた。
『お兄さん、こんな晴天に傘差してどちらまで?』
桃色は少し驚いた顔をしてふりむいた。
しかしすぐにこりと笑顔をうかべてこういった。
「ちょっとそこまでね」
そういってクスリと笑うと、君も女なら少しは肌を大切にしたほうがいいよ、といって歩き出す。
『じゃあ、お兄さんの傘をかしてよ』
「なにいってるの、これは俺の傘だよ。ほしいのなら自分で買いなよ」
こんな暑い日にそんな厚着で、涼しい顔して日傘を差しているこの男。
大方お上と商談に来た天人だろうと思いつつ、わたしはこいつに興味がわいてきた。
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