01
「それみたことか」
その言葉がわたしの耳に届くと同時に、ふわっという浮遊感が私をおそう。
無機質な笑顔は、どんどんと小さくなっていく。
人生の最後にみるのにふさわしいその綺麗な顔を、ただただ見つめていた。
「助けてほしいなら、声をだしていってごらん、助けてって」
ごくりと息を飲んだわたしは、ゆっくりと口をひらく。
『あんたに助けを求めるくらいなら、このまま落ちたほうがマシ』
その言葉を聞いて、ニヤリと意地悪くその人は笑うと、じゃ、さよなら、といって楽しそうに手を振った。
ここはかぶき町。
ターミナル屋上からのダイプ。
そこから見た景色は、とにかくきれいだった。
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