ぽかぽかとお日様が照らす中庭を下に見る。
青い空がいつもより近く感じる。
そう、わたしは今、屯所の屋根の上にいるのです。
ひなたぼっこをしているわけでも、さぼっているわけでもありません。
(お、おりられなくなってしまった)
どうしよう、こんなときに限って、中庭には誰も来ない。
もうざっと1時間くらいはこうしている。
さかのぼれば2時間前、いつものように洗濯物を干していたわたし。
茂みの中からネコちゃんが出てきたので、撫でようと洗濯物を置いて近づいたら、さっとかわされて洗濯物をくわえて逃げてしまった。
よりによって沖田さんのアイマスクを。
『きゃー!ネコちゃん!なんてことを・・・!』
はっと次にネコちゃんがいたのは、屯所の屋根の上。
(つ、つかまえなきゃ!)
わたしは、いそいそと屋根に上り始めた。
このとき気づいていなかったのだ、実は自分が高所恐怖症だということを。
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