屋根に上ると、ネコちゃんは尻尾を振ってこちらをみている。




『ネコちゃん、いい子だからこっちおいで』



手を叩いてみるが、動く気配が無い。



『ネコちゃん、お願いだから・・・!』






わたしの必死の思いが通じたのか、はたまた飽きてしまったのか、ネコちゃんは、ぽて、とアイマスクを置くと、ぴょんぴょんと屋根から屋根へ飛んでどこかへいってしまった。





アイマスクを拾って、下へ戻ろうとする私。




下を見ると足がすくむ。










(あ、私、高いところダメなんだ・・・?)







別に自分に苦手なものなんて無いと思ってた。




それがよりにもよって今、そしてこの状況ではじめて知った私の苦手なもの。




最悪のタイミングだと思った。







そして冒頭に戻るわけなのです。







『はー、どうしようかな』






いっそ飛び降りてしまおうか、きっとここから落ちても骨折ですむだろう。



そんなことも考えたが、やっぱり痛いのはやなので躊躇してしまった。





そろそろ洗濯物もかごの中で乾いてしまう。









そんなとき、見慣れた栗色の頭が見えた。






沖田さんだ。








さすがわたしの神様、登場のタイミングを知っている。






わたしは、すかさず名前を呼んだ。






『沖田さん!』





「?」




きょろきょろをあたりを見渡す沖田さん。





『上です、上!』





ふいっと上を向いた沖田さんと目が合った。






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