何を入れられたのか、あわててカキ氷の容器を確認すると、赤と黒の影がすいすいと泳いでいる。









『あ、金魚と出目金・・・』







かわいいだろ、といってその2匹を見ている沖田さん











『なんだか一気に涼しくなった気がします』



「こいつら、アンタにやりまさァ」



『え!いいんですか!やったー!』




「こっちの赤いほう、菊子ににてるだろ。丸々太ってて」



『・・・!!じゃあこの黒いほうは沖田さんですね。腹黒だから』


「ばかやろー、俺ほどピュアなやつはいやせんぜ?」


『えー』







そんな他愛ない会話すら、しあわせ





自然と頬が緩んでしまう








「赤がエム子で、黒がサド助でさァ、大事にしろィ」



そういって沖田さんは立ち上がった





『はい、一生大事にします。いつか鯉にしてみせます』





「そりゃ楽しみでさァ」






スタスタと廊下を歩いていく沖田さん







―ピタ





「あ、それから」




「菊子が抜け出して祭りにいったこと、内緒にしてやりまさァ」







『え、なんでですか?』






「俺も抜け出して、金魚とりにいっちまったんでねィ。同罪でさァ」







内緒ですぜ、といってまたスタスタと歩いていく沖田さん










ぎゅううっとなる心臓







ふと下を見ると、エム子とサド助が、気持ちよさそうに泳いでいる







仲良く泳いでいる2匹



わたしと沖田さんに似ている2匹






いつか、仲良く泳ぐこの子達みたいになりたいな





(ぜったい、大切にしよう)




わたしはその夜、抜け出して買ってきた金魚鉢に、エム子とサド助を入れ替えた





◎あとがき
金魚プレゼントされたら嬉しいな、と思って衝動でかきました。
後悔はしてません。
菊子さま、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!




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