カシャン、となにかが落っこちた。
『あ』
おちたのは、わたしの髪飾り。
いつもは髪飾りなんて動くのに邪魔なのでしないわたしですが、今日は特別。
特別といっても、べつにパーティがあるわけでも、お出かけにいくわけでも、仕事があるわけでもない。
いつもどおりのオフの日。
じゃあ何が特別かって?
わたしが特別仕様ってことです。
最近なにもなさすぎて、自ら特別を作り出そうというこの精神。
団長もきっと暇をもてあましているだろうから、お部屋を訪れたわたしですが、団長はいないし、髪飾りはおっこちるし。
いいことないな。
はあー、とため息をついて、ベットの下に落ちてしまった髪飾りを拾おうと屈む。
拾い上げて立ち上がろうとすると、ドアの向こうから誰かが歩いてくる足音がして、とっさにベットの下に隠れてしまった。
ベットの下は、なんともほこりっぽくて、暗くて、狭くて。
まあ、通り過ぎたらでればいいか。
そんなことを思っていたら、ガラリとドアが開いてしまった。
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