綺麗な笑顔で、わたしへ近づいてくる団長。
わたしも負けじと笑顔を作り、後ずさりをする。
だって、状況が状況なんだもの。
団長の片手には、シャコ。
そう、シャコ。
YES、シャコ。
おすしなんかである、あのシャコ。
虫みたいで大嫌いな、シャコ。
「何で逃げるの」
『だって団長、シャコをお持ちじゃないですか』
「だからどうしたの」
『だから逃げてます』
「俺のこと嫌いなの?」
『団長は大好きです』
「じゃあもっとこっちにきなよ」
『いきたいのは山々なんですが、団長のそばにシャコがいるんですもの』
こんなやり取りをしながら、なんとか逃げ回るわたし。
せっかく阿伏兎さんと3人でおすし屋さんにきたのに、なんでこんなことになっているんだろう。
さっきまでは、幸せ気分でたまごを食べていたはずなのに。
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