秋、とも呼べるこの季節
しかし、気温はもう冬のそれと同じくらい
はあーと吐く息も、夕方の茜色にまじって、白く溶けていく
カサリと落ち葉を踏みながら、歩く影はふたつ
隣を歩く団長の紫色の傘も、夕焼けのオレンジに溶けて、なんだかいつもより優しい色に見える
気づかれないようにずっとみていたくて、わたしは首に巻いたマフラーを右手でくいっと口元にあげた
「太陽は嫌いだけど、夕焼けはいいネ」
団長がぽつりとそういった
『? きれいだからですか?』
「太陽が自ら沈んでいくなんて、なんだかいいじゃない」
団長はそういうと、クスリと笑いながら、バイバイ、と夕日に向かって小さく手を振った
そんな団長がかわいくて、わたしもひらひらと太陽に手を振る
『わたしも夕焼けはすきです』
『日が沈めば、傘はいらないですから』
「たまにはかわいいこというじゃない」
深く構えた傘のせいで、団長の表情は見えない
でも声色はなんだかとても優しかった
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