『団長!ケーキ買ってきましたよ!一緒にたべませんか?』
わたしはルンルン気分でスキップをしながら団長の部屋に入った。
だって、ここのケーキ、めちゃめちゃ並ばないと買えないんですよ?!
1時間や2時間の世界じゃないんです、半日、半日並びました。
スイーツ星の一番人気のケーキ屋さん。
昨日団長がTVを見ながら、おいしそうだネ、って言ってたのを、わたしは聞き逃しませんでした。
自分だけのためだとこんなことできないけど、そこに団長というものが加わると、わたしはなんでもできてしまうようです。
絶対褒めてもらえる!
笑顔で、いい子だね、っていってもらえる!
そんな淡い期待をしながら、団長の目の前に、かわいらしいケーキの入った箱を差し出した。
「ごめん、ちょっと後にしてくれるかな」
・・・ん?
いまなんていいました?
聞き間違い?
ですよね?
思いもしなかった言葉を聞いた私は、そのまま箱を差し出したまま動きを止めた。
「・・・きこえなかった?その耳、使えないの?」
・・・!!
な、なんですかその言い方!!!
喜んでもらえると思ってしたことが、こんな冷たい言葉であしらわれてしまうなんて。
いつもなら笑える冗談みたいな言葉も、今のわたしには悲しさに拍車をかけるものでしかなかった。
『も、いいです』
それだけ言い残して、そのまま私は団長の部屋を後にした。
きょとん、とした団長をひとり残して。
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