夜、寝る前に窓から月が見えた。


地球で見る月とは比べ物にならないくらい大きくて、明るくて、きれいだ。





(こんな間近でお月様をみるなんて、前のわたしでは考えられなかったな)






もう秋も半ば。


地球ほど季節感の無いこの宇宙も、なんだか空気がひんやりしている気がする。






『うー、さむい』





ブルルと身体が震え、急いで布団にもぐりこむ。







もうこの団服も衣替えだ。

あれ、そういえば団服に冬仕様のものはあるの?



団長も阿伏兎さんも衣替えのこの字もだしてこないけど・・・。






まあ、明日朝会ったら聞いてみよう。


忘れないようにしなきゃ。













目を閉じる前に、もう一度お月様を見上げる。




ふと、昔お母さんから聞いた話を思い出した。








それは、かぐや姫のお話。




最後には、迎えが来て、月へ帰ってしまう、悲しいお話。









それをなぜだか、自分と団長に置き換えてしまった。






いつか地球に戻らないといけないのかな。




いつか、帰ってきなさいっていわれちゃうのかな。









なんともいえない、心の奥の奥に、不安がずしりと重くなった。




目をつぶると、その暗さが不安の大きさのようで、なかなか寝付けない。









『はー、こんなこと考えても、しかたないのに』








わたしは、ムクっと起き上がり、靴を履いた。







向かう先は、ひとつ。





部屋からでて、5歩。





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