「あれ、団長。どうしたんだその女」
「あ、阿伏兎。」
阿伏兎さん、というその人は、なんだかだるそうな、こまったような、そんな顔をして私を見ている。
『は、はじめまして!』
「紹介するよ、月子ちゃん。これは俺の部下の阿伏兎。俺と同じ夜兎。阿伏兎、この子は月子ちゃん。あのお侍さんの家にいたから連れてきた。これからここで働いてもらうことにしたから。」
「ちょ、ちょっと待てよ団長!そいつ地球産だろ?なんでそんなやつ連れてきてんだよ。見つかったらすぐ殺されちまうぞ。」
阿伏兎さんは、迷惑そうにいった。
ひ、ひどい・・・
「暇つぶしにはちょうどいいかと思って。これから俺の付き人をしてもらう予定なんだ」
(ちょっと待って!わたし暇つぶしのためにつれてこられたの?!)
「そこで阿伏兎に相談。この子が殺されないように、なにか考えてよ。俺、世渡りは苦手なんだ。」
「なんで俺が同族じゃない奴を守らなきゃいけねえんだ」
「阿伏兎」
にこ、と笑顔を崩さず、神威さんは、阿伏兎さんの名前をよんだ。
「・・・へいへい、これも海賊王への道のためですかい。わーったよ!元老には俺から話通しておくから、あんまうろちょろさせんなよ!」
「ありがとー」
“ったく・・・”といいながら頭をかいて、阿伏兎さんはどこかへいってしまった。
神威さんは、それを笑顔で手を振って見送っている。
(わたし、ここに来た意味あるのかな・・・なんか迷惑かけてるような・・・)
「月子ちゃん、これからきみには、俺の付き人をしてもらうよ。それから、俺のことは、団長って呼ぶこと。変に目をつけられても困るからね。」
『わかりました。』
じゃあ、俺の部屋は隣だから、困ったことがあったらいつでもきなよ。そういって神威さんは部屋をでていった。
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