目の前には、チョキを出した団長が、きょとんとした顔で立っていた。
「ほんと、月子はどうでもいいときに運をつかうね」
たった今、わたしはじゃんけんに勝利をしました。
じゃんけんっていっても、タダのじゃんけんではありません。
いつも任務がなくて暇なときには、こうやって二人で何かをかけた勝負をしている。
今回のルールは、“負けたほうが勝ったほうのいうことを1日きく”
何度かこの条件で勝負をしてはいたものの、かけっこに腕相撲、大食い対決などなど団長の得意なものばかりで惨敗していたので、今回は平等にじゃんけんで勝負をした。
まさか、ほんとうに勝てるとは思わなかった。
わたしは、わたしのお願いを聞いてもらうべく、勝ったときのために用意しておいた雑誌を何冊か団長に渡した。
「なあにこれ?これを捨てればいーの?」
首をかしげた団長は、ゴミ箱に向かおうとする。
『ちょ!捨てないでください!!読んでほしいんです!ここを!!!』
バサリとわたしが開いたページは、“憧れデート特集”
わたしの夢がつまったページです。
目を輝かせながら団長を見ると、団長はあからさまに嫌な顔をした。
「・・・アンタ、こんなのよく俺に求められたね」
眉間にしわをよせて雑誌をパラパラと見る団長に、受け入れなかった場合は、夜ご飯抜きって覚えてますよね?と笑いながらいった。
団長は、ほんとかわいくないよアンタ、といって、ため息を吐いた。
そして、集中するから自分の部屋に戻ってて、という団長の言葉を素直に受け入れて、わたしは自室に戻る。
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