「本当に?」




念を押すように月子の目をみると、ふいっと目線をそらす。




アンタは嘘がつけないんだから。


素直に白状したほうがいいよ。









『・・・笑いませんか?』




「・・・たぶんね」







月子は、一呼吸置いて話し始める。






『昔話で、かぐや姫ってお話があるじゃないですか』




「うん」




『最後は、かぐや姫が月に連れ戻されちゃうんですよ』




「うん」




『だから、最後は、わたしもそうなのかなって』




「・・・うん?」










まさかの話の終わり方に、俺は変な返事をしてしまった。








もしかして、あれかい?



アンタは自分がかぐや姫とでもいうのかい?









いつものように、からかってやろうと月子の顔を見ると、ひどく切ない顔をして、今にも泣きそうだ。




ほっぺたをつねろうとした手を、思わず引っ込める。







今の話、そんなに不安になの?


何がそんなにアンタを不安にさせているのか、俺にはわからないよ。






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