―トントン
誰かが俺の部屋のドアを叩いた。
阿伏兎はいつもせっかちに3回叩く。
それとは対照的に、ゆっくりと2回叩かれたドア。
扉の向こうにいるのは、誰だかもうわかってる。
返事をしようとすると、ガチャ、と扉が開く音がした。
あれれ、今日はせっかちだね。
「・・・どうしたの、月子?」
『あれ、寝てないんですか?団長』
「寝てると思って入ってきたの?今時のストーカーは怖いネ」
『ちょ、誰だストーカーですか!!!』
いつもは笑顔で入ってくるのに、今日はなんだか顔が引きつってる。
なんて、
いつから月子の小さな変化が気になってしまうようになったのか。
「・・・寒いからこっちにおいで」
布団から起き上がって、右手で月子を呼ぶ。
そうするとおずおずと歩いてきて、俺の隣に座った月子。
こういうところは、従順でかわいいと思うよ。
「こわい夢でもみた?」
『・・・はい』
「・・・ふーん」
でも、うそをつくところは、かわいいとは思えないな。
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