わたしは、今日から自分のものになる部屋を見渡した。



ベット以外、なにもない。
しかもベットも病院のベットのような、無機質なもの。



・・・かわいくない。

全然かわいくない。


・・・かわいくない部屋になんて、住みたくない。




わたしは、神威さん、もとい、団長の部屋へ向かった。




―コンコン



『神威さ・・・団長ー。月子です。』

「はいっていーよ」




のんびりした声色で、返事をする神威さん。
じゃなくて団長。




なんだこれ、意外に呼びづらいな。





『おじゃまします』



初めて入った団長の部屋は、あまり物がなく、がらんとしている。

わたしの部屋と同じくらいなにもない。




まわりをきょろきょろしていると、団長が口をひらいた。



「なに、寂しくなっちゃった?」



『ちがいます!困ったら来いっていったの、団長ですよっ。さっそく困ったことが発生しました。』



「ふーん、なにがあったの?」


興味なさそうに団長は聞き返してきた。


あれ、なんかさっきはもうちょっとやさしく思えたんだけど。



『わたしの部屋になにもありません。生活できません。家具がほしいです。』



団長は、「なんだ、そんなことか」といって、めんどくさそうな顔をしている。



(わーこの人絶対めんどくさいと思ってるよ。男の人にはわかんないだろうね!この気持ちは!)




「じゃ、買いに行こうか」


『え』


(行ってくれるの?!)



「え、ってなに、いらないの?」


『いや!いります!』


「じゃあ、さっさといくよ、もうすぐ給油で着陸するんだ。商売が盛んな星みたいだから、ちょうどいいね」



にこっと笑った団長に、ちょっとどきっとしたのは、たぶん冷たくされた後に、やさしくされたから。



「ほら、ついておいで」そういわれて、私は団長の後を追った。



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