04


ぽかぽかと日差しが心地いい。


あー、なんで水の音ってこんなにも心安らぐんだろう。

なんでプールの床ってこんなにあったかいんだろう。



なんでこんなに、眠くなるんだろう。




そんなことをうとうと考えながら、私はプールサイドへ座っていた。





「こらさくら、こんなとこで寝るなよ」



コツン、と横からマコに叩かれる。



『ぽかぽかきもちーんだもん』



わたしは閉じかけていた目をこすりながら、ゆっくりマコを見上げた。




ちょうどマコの影が太陽を隠してくれて、まぶしくない。


見上げた顔は、思ったより遠くにあって。



なんだか急に、マコが大きく見えた。




『マコって意外とおっきいんだね。小学校のときは私のほうが大きかったのに』


小さい頃、犬に吼えられてるマコを助けてあげたりしたなあ、なんて、昔のことを思い出す。





マコも同じようなことを思い出したのか、困ったように笑うと、わたしの横に腰掛けた。




「でも、もう俺のほうが大きいよ」

『うん』

「だから次は、俺がさくらを守る番」

『え?』




冗談と判断するのにちょっと時間がかかった。



何言ってんの!そういってバチンと叩いたマコの背中は、とってもとっても大きかった。



いてて、と笑いながら背中をさすっているマコ。




こういう微妙な冗談は、ホントにやめてほしい。

だって、今、絶対わたし、顔が赤い。

早く顔の熱が冷めるように、全然違うことでも考えよう。

そんなことを思っていると、マコがわたしの名前を呼ぶ。



なあにといってマコのほうを振り向くと、マコはまっすぐわたしを見ながらこういった。



「さっきの、うそでも冗談でもないから」



『・・・えっ?』





じゃ、俺練習戻るね、そういってマコはプールへと戻っていく。






なんでこんなにドキドキしているのか自分でもわからない。

ほてった顔はさめる気配がない。



わたしはただただ、マコの姿を目で追っていた。




うたたね

(マコちゃん、さくらちゃんとなに喋ってたの?)
(んー内緒)
(えーずるーい!よし!僕もさくらちゃんと内緒話してこよーっと!)
(ちょ、待て渚!)

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