理解できない



※会話文無し。









どうしたらいいのだろうか。

散々僕の機嫌をとっておいて、散々僕の気持ちを揺らがしておいて。

そして、どうして突然その手を手離した。




執着等していない。

期待もしていない。

そう思って僕は、僕自身の意思を歪めて正した。
自分自身の心がそれを求めていないとしても、どうしても歪めて正すしか無かった。
じゃなきゃ、平常すらも保てなかったから。
だから自分の感情や意思を押し殺して、手離された事は仕方の無い事なのだと言い聞かせてきた。

その手離された手を、ただ見詰める事しかできなかった。

それでいいとも思った。
何故って、仕方の無い事だから。
彼は、一つの存在のみを大切には出来ない。
それは、初めからわかっていた事だ。
わかっていて差し出された手を取った。
だから、これは自分で招いた種。



なのに手離された喪失感に世の全てを敵視した。
なぜ、どうして。
わかっていた事なのに、なのに何故僕はそれを受け入れられない。
なぜ、素直に認めてやれない。

そんな鬱陶しくなる葛藤に頭を悩ませて、やっと胸の内の整理が出来たかと思えば、あの離れていった手がまた目の前にあったのだ。
どうして、なぜ。
一度は手離した癖に、なぜまたこうも手を差し出せる?
何事も無かったかのように、どうしてまた笑顔を振り撒いて手を差し出すのだ。



そしてその一瞬で、僕は全ての信頼を断ち切った。
信頼出来ない。
一度は裏切ったその手を。
無下に僕の心を放り投げて手離したその手を、僕は一生許さない。
なのに、僕はまたその手を取ろうとしている。






どうして。



なぜ。




裏切ったその手は一生許さない。
なのに僕は、目の前の手を再び取ろうと困惑する。

また裏切られる恐怖と、

また彼に触れられる喜びに歓喜して。




僕は、嫌いになるくらいなら寧ろ嫌われる事を選ぶ。

あなたを嫌いになる事が、一体どれ程困難か。
きっとあなたはわからない。
どんな仕打ちをされようと、あなたを嫌う事は出来ない。
だからきっと、僕はその手を再び握るのかもしれない。








たとえそれが裏切りという道を選ぶ事だとしても。






結局僕は、あなたを憎みきれないのだ。










........end

中途半端な優しさより、100の嫌悪を向けられたほうがマシです。
己の気持ちすらわからなくなるぐらいなら、いっその事感情なんていりません。
中途半端な優しさや親切が時に人を苦しめるんです。


……と、所謂実話を含めているので暗いです。
勢いで書いたものなので余計支離滅裂ですすみません。





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