「ありがとう」直接言われたくて今度は必ず手元に渡るようにと私の我儘とほんの少しの勇気の結果で、どうか震えた唇と掌が向こうに伝わっていませんようにと切に願う
「気になるんだね」曖昧に濁すことも誤魔化すこともせずに、ただイエスと答えたら困るのは私の方なのか向こうの方なのか
「動揺してる」わかっているならあえて口にしないで、余裕の笑みが腹立たしい、ハンドクリームの匂いで酔ってしまえばよかったのに
不可抗力の「触らないで」
きっと残り8ヶ月、なにもないまま始まりすらも見えず私の中だけで綺麗に終わりたい、終わらせてみせる
今日はしんだように眠る
忘れたい
忘れたくない
穴を見つけて冬眠しよう
もう二度と触れないと決めたはずなのに