※英雄(ひでお)って呼んでる。覚醒が覚醒じゃない




とん、と肩を蹴飛ばされると、私は宙を舞うことになった。ああ、くっそ。フリッピーのくせに。いつも通りのナイフでいろんなところを刺してゆくのが飽きたのかよ。下に落ちるのを待ちながら私は自分の中に溢れだす憎悪を感じていた。薄ら笑いを浮かべているやつの顔を見ながらの飛行なんて勘弁したいところだが、それも無理な話か。周りがゆっくり動きだす。何度も経験したことだからもうなれたけどさ。あーあ、私も空を飛べたらこんな死に方しなずにすむのに。考えるのも面倒だ、どうせ生き返るんだし。おやすみ。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………いつまでたっても痛みはやってこなかった。それよりも、何だかあったかくてふわふわして、よく分からない感覚が先に表れた。試しに目を開けてみるとそこには見慣れた青いやつが、
「やぁ、名前」
パタンパタンと赤いマントが風に煽られる。私を抱えて浮いているのはスプレンディドだった。


「…ひっ、……………ひでお…!」
「君は本当にロマンチックというものを勉強しようか。わざわざ長くためてその名前で呼ばないで下さいお願いします」
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