露君伝
露君という男がいた。
長らく子供が生まれなかったので、丈夫に育つようにと露姫として育てられた、
露君は元服すると、姫を捨て、嫡男として立つ。
露君には母を同じくする妹がおり、名を雨の葉という。露君はたいそうこの姫君に懸想されていたので、妻とした。
二人は顔貌も美しく、見たものが心を奪われ、溜息を零したほどである。
姫君を妻とした露君は、一心に姫を愛し、睦まじく暮らしたという。
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