おたんじょうびのプリンスさまっ♪
「バーロン、今日はトクベツ!おったんじようびおめでとう!オレとデザートをプレゼントしちゃうよっ」
朝。
寝起きの悪い神宮寺レンは、目覚まし時計を十個破壊し、ようやっと起きたと思えば、ハッと息を飲み、見守っていた二人に冒頭のセリフを言った。満面の笑みで。
「え、えと、えと・・・?」
勿論、ショタカミュは戸惑った。デザートはともかくなぜレンまで?
しかし、流石は神宮寺レンの恋人のカミュ。目を光らせ、満面の笑みをたたえた。
「ならば今夜はさぞトクベツな奉仕をしてくれるのだろうな?」
「もっちろん!なんなら、この前バロンが買ってくれたアレ着ちゃうよ?」
「な、んだと・・・っ?」
稲妻が走るほど、カミュは愕然とする。
何故なら、あの神宮寺レンですら嫌がったアレというのは、巷で人気のプレゼント下着なのである。単なる下着ではない。リボンで、肝心なところを隠す仕様の、おもいっきり恥ずかしい下着なのである。
恋人にきてほしいとねだったところ、いつもならいいよと頷いてくれる恋人が、これはちょっと、と辞退してしまうほど。要するに、やる方はかなり恥ずかしい。
それをしてくれるというのだ。誕生日。生まれてこのかたデザートが沢山食べられる日ではあったが、よもや恋人までおいしくいただける日であったとは。なんと深い!
「あの、いっぱい、食べていいの?」
「もっちろん!和洋中からいろんなシェフを呼んで、二人のためにデザートを作ってくれるよ!」
因みに、神宮寺レンは作る係も食べる係も辞退し、二人を写真に収め眺める係りである。
「ちゅ、中華までっ?」
「ふっふっふ。ありとあらゆる国のデザートというデザートを網羅したよ」
因みに、神宮寺財閥とシルクパレスのちょっとした伝と聖川財閥の御曹司の協力による。
「は、早く行くぞ!」
「はいはい、さ!行こう」
「は、はい!」
因みに、ショタレンは食べられないので早々に聖川家にお邪魔している。
「お、おいしいです!」
「うむ、なかなか・・・」
「うふ。喜んでくれてなによりだよ」
二人は次から次へと出て来るデザートを片端から食べ尽くした。食べたことのあるデザートも、食べたことのないデザートもどれもこれもおいしい。
誕生日。なんてステキで甘美な響きか。生まれてこのかた誕生日をこれほどまで感謝したことはない。
「れ、レン。早く次をっ」
「はいはーい」
レンは給仕しながら、口いっぱいに詰め込む二人をにまにま眺めた。こんな二人を見れるなんて役得だ。
「はい、次はこれ!」
「わあ!これは、なんていうんですか?」
「これはねぇ・・・」
そして、すべてのデザートを見事二人は完食し切ったのである。
シェフ達がブラックホールの如く、次から次へと食べ尽くす二人を見て恐るべしと思っていたのは別の話である。
     
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