My Sunny Devil
結婚式から半月後。
神宮寺レンは苦難な新婚生活を送っていた。
生活自体はあまり変わらない。
変わったのは、
(ヤバいトイレ行きたい)
貞操帯。
しっかり言質をとられ、神宮寺レンは貞操帯を着けさせられている。
最初は、そこまで困ることはなかった。
しかし、アイドル稼業に戻り、生活していると様々な障害があった。
一つは、衣装に着替える時。今までは全員同じ場所で着替えていたのだが、一十木音也により無理矢理仕切りを作られ女のような扱いである。
それはまだいい。もう一つは、トイレ。
一十木音也以外に貞操帯の鍵を持っておらず、恥ずかしいながらも外してとねだらなければならない。剰え、トイレ見学をしていくものだからだったものではない。
今日は、誰もいないうちにスタジオ入りしたので、仕切りもなくさっと着替えようと私服を脱いだ。なんとなくトイレにも行きたくなって、一十木音也は他の収録の後に来る予定だったのでどうしようと考えた。
その時、
「おはようございま………」
「………」
同じ楽屋の一ノ瀬トキヤと、彼と仲が良く、神宮寺レンとは競い合ってきた聖川真斗が楽屋に入ってきた。最初に中に入った一ノ瀬トキヤは言葉を止め、固まった。
「どうした一の……せ……」
次いで、聖川真斗も固まる。
神宮寺レンは、この世の終わりのような顔で固まった。
よりにもよって、この二人に見られてしまった。来栖翔なら逆にからかって言い逃れ出来たし、四ノ宮那月や愛島セシルなら誤魔化せた。
最悪の組み合わせだ。
しかし、悪夢はこれで終わらなかった。
「レン」
それはそれは素晴らしい笑顔で、邪気など全くないような顔で、ブリザードを吹き荒らす約一名。誰だ太陽だなんて言ったのは。
「おれ、言ったよね?見せるなって」
刹那、神宮寺レンは泡を吹いて倒れた。
「じ、神宮寺!」
「レン!」
その後、寒色組の徹底抗戦が始まり、新婚早々別居生活を余儀なくされた。
寒色組は、神宮寺レンに貞操帯を着けるなど到底許せない、返して欲しければ鍵寄越せという体勢だった。
対して、一十木音也は「ふざけんなよ」と無邪気な笑顔で迎え撃った。
戦いの末、口にも出したくないありとあらゆるえげつない手法の末、一十木音也は最愛の花嫁を奪い返したのである。
勿論、神宮寺レンは貞操帯を見られたことと、長い間引き離された鬱憤から、思い出したくもないお仕置きをされたのである。
     
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