キライな朝と、ダイスキなヒト
朝は、キライ。
オレは朝弱いし、出来るなら夕方まで寝てたい。スキな時に起きて、スキな時に寝たい。
でも、朝はちょっとだけスキ。
「神宮寺、起きろ」
朝早い時。そして、二人とも早い時。
オレは、ちょっとだけ起きるのが楽しみ。
「神宮寺」
固い氷みたいな声。うるさい目覚まし時計も、こんな日は仕事をしない。だって、オレのスキな声が起こしてくれるから。
「神宮寺」
ゆっさゆっさ、と揺さ振られる。でも、まだ起きない。ホントは起きれるんだけどもったいなくて起きれない。
「神宮寺、いい加減起きろ」
あ、今、ちょっと不機嫌になった。そんなトコもスキ。
「神宮寺」
揺さぶりが、強くなる。そんな強くしないでもっと優しくしてよ。でも、優しくないその手がスキ。
「……ハァ」
あ、溜息ついた。もうそろそろ起きないと。
次。次は起きるから。
「……レン」
「っ、もう!バロンのバカ!」
不意打ちなんてズルいんだから!そんなトコもスキ!
あったかい布団の中から、飛びつく。絹みたいな髪が鼻を擽って、いい匂いをおなかいっぱい吸う。ダイスキなにおい。ダイスキなカラダ。
「貴様やっぱり起きてたな」
「だってバロンに起こしてもらいたかったんだもん」
「ならば一度で起きろ」
「そんなのもったいないじゃないか。せっかくバロンが起こしてくれるのに」
「ほう?」
バサッ。
腕の中にいたバロンが、いつの間にかオレの上にいる。オレがバロンの腕の中にいる。
「ばろ、ん?」
「では、望み通り呼んでやろう」
ふっ、と悪の大魔王みたいに笑うバロン。
オレは冷や汗が止まらない。え、ちょっと待って。バロン?オレ、今日朝早くから仕事なんだけど?ねぇ、バロン?
「幸い、俺は仕事がない」
いや、だから、ね?オレ、仕事だよ?
「覚悟しろ」
覚悟しろって、え?
「もういい、と言っても呼んでやる」
「……お、おてやわらかにオネガイシマス」
吸血鬼みたいに、ピリッとした痛みが首筋から来た。
「貴様の働き次第だ」
朝は、ちょっとだけコワイかも。





「レン」
ヤバい。
「レン」
何がヤバいって、この背徳感。
カーテンも窓も開け放して、朝の日の光が射しこんでる。快晴の真っ青な空が覗いて、鳥の鳴き声が心地いい。
「レン」
「ん、やぁっ」
朝っぱらから、エッチなことしてるってヤバい。しかも開放感溢れてて、恥ずかしさがハンパない。
「どうした?呼んで欲しいのだろう。レン」
「も、いらなっ、」
「そう言うな。レン」
ふっ、とかかる息。ゾクゾクと身体が震撼した。
身震いさせたオレを、またふっと笑って感じさせる声。低くて、バロンのスキな砂糖みたいな甘い声がおしりあたりまでキュンキュンするくらい感じる。
「ばろ、も、はなしてっ」
「何故だ?」
「だっ、は、ずかし……っ」
「ほう?ここは、悦んでいるが?」
ピン、と弾かれたオレのペニス。小さくもないし、毛だってわさわさ。色も形も成人男性のもの。
なのに、バロンの言葉にぶるっと震えて、弾かれたペニスは恥ずかしげもなくびゅっ、と感じてる。ああ、もうオレのバカ。
「ふっ。イケナイ子だ」
それだけじゃない。
バロンは、オレの足を大きく開いて、ずっと恥ずかしいトコを見てる。オレの恥ずかしげもなく感じてるトコも、ヒクヒクってバロンにおねだりしてるトコも全部。
夜でもないのに、明るい時間にこんなコトしてるって背徳感。でも、多分夜にするよりもオレは感じちゃってる。バロンもそれに気付いてる。
「レン。せめて、説得力のあることを言うんだな。ここがイジメてと言ってるぞ」
「ああッ」
ぺろ、て。ヒクヒクしてるトコを舐められた。
バロンの舌が、オレの、あのアナを。
「なんだ。顔を隠すな。もったいない」
恥ずかしくて、腕で顔を隠した。絶対今変な顔してる。
けど、バロンに腕をとられた。
「真っ赤だな」
バロンにそんなことされたら、隠すなんて出来なくて。
「可愛いな、レン」
なんて、言われたらもうダメ。
「あ……」
かぷ、て耳を甘噛みされる。ぺろ、って舐められて、耳の中をバロンの舌が縦横無尽に動く。
「ん、ばろっ、そこ、……あッ」
「ん?どうした、レン」
ズルい。いつもみたいに、「神宮寺」って呼ばないで名前を呼ぶなんて。オレが、名前で呼んでって言ってもなかなか呼んでくれないのに。
ズルい。オレが、感じちゃうの分かってるんだから。
「レン」
そうやって、オレをちょっとずつ思い通りにしていくんだから。
「レン」
バロンの指が、オレのうずいている場所に入った。つぷ、って慎重に入ってくる。入口を通り抜けて、ゆっくりと奥まで。いっそのこと一気に行って欲しいくらいに慎重に。臆病な動きに、オレの中は早くって言う。
「レン」
甘い吐息が、耳からオレを犯す。
耳のから、下から、オレを犯していく。
「レン。入りたい」
それが、合図だった。
オレは、バロンの背中に腕を回した。
「きて……バロン、きて」
「レンッ」
「ッ、あ、んァああッ」
オレの中に、バロンが入ってくる。早くっておねだりして、キュンキュンしちゃってるオレの中を、バロンが広げていく。
「、ッレン」
「あァ、ば、ろん……」
バロンの吐息。苦しそうな顔。
普段涼しい顔を崩さないバロンが、オレの中で顔を変えてる。
「っ、絞めるな」
「だ、だってぇ……」
オレだけじゃなく、オレのカラダもキュンキュンしちゃう。
バロンは、汗を浮かべて、苦しそうな顔をしてる。力を抜かなきゃ、って息を吐くけど、オレの中のバロンがいっぱいで苦しくて出来ない。
「欲しがりめ」
キスが、降りる。
甘えるみたいに、バロンの背中を引き寄せると、たくさんキスをくれた。バロンの舌が、オレの唇の隙間から入ってきて、口の中を触っていく。
「ん、ふ……ぁ、あ……」
「ん……は、ぁ……」
バロンの息が口の中に入ってくる。もっとちょうだいって、バロンの唇に噛み付いた。
バロンは、意地悪に笑って、でももっとキスをくれる。
「ん、ぅ……ああッ」
キスに夢中になってると、下からいきなり突き上げられた。ガンッ、て殴るみたいな感触。
「ば……っ、ふ、ぁあ……だ、めっ」
バロンは、オレを無視していっぱい突いてくる。
オレは、奥を突かれて感じちゃって、でもキスでトロトロになっちゃってて。
「ばろ、ぁ、あァッ」
オレの中がバロンの形に広げられていく。キュンキュンって、バロンにおねだりして、狭くなってた中がもっともっとてワガママになっていく。
でも、ダメ。そんなにしたら、オレ、ダメ。
「だ、だめ……ばろ、あ、ああァ」
「そうか?」
バロンは、急に動きを止めた。
オレはイく寸前で、キュンキュンどころかぎゅうぎゅうバロンを絞めちゃってる。
バロンの目が、意地悪に歪んだ。
「ば、ろ……?」
「ダメなんだろう?」
「ち、ちがっ」
いじわる。分かってるくせに。……でも、そんなトコもダイスキ。
「ダメ……」
「ん?」
「じゃ、ない」
「レン」
甘い声。優しくて、オレがスキな声。
キスと一緒に、オレを呼ぶ。普段は絶対呼んでくれないのに。
「して……」
「お望み通りに」
ちゅ、て頬にキス。
そして、オレの中からでていく感じ。
抜いちゃダメ、って絞めるのに、中からいなくなっちゃう。
けど、喪失感とすぐ後に、一気に奥まで突かれた。
「い、あァあああッ」
ダメ。
「あ、あ、アァア、ああッ」
ダメ。
「ばろ、あ、あぁあ、い、いや……っ」
「ん?」
嫌?って。バロンがきいてくる。
ダメ。
だけど、
「い、い……イイッ、ああぁ、ば、あぁあンッ」
「愛してる、レン」
ズルい。そんなこと言われたら、もっとダイスキになっちゃう。
「お、オレもっ、だいすきっ。バロン……あァああああああッ」
「ック、レンッ」
真っ白。
頭の中も、視界も、全部真っ白になって。そしたら、バロンがキスをくれて。
オレの中に、アツイのがきた。
「……は、ァ……」
スゴイ。アツくて、身体中がゾクゾクする。
バロンがキスしてくれるトコロはもっとアツくなって、オレの中までゾクゾクしちゃう。
「……く、」
「え、ウソ、バロン、まっ」
「煽った貴様が悪い」
「あァんッ、だ、ダメ……」
「ワルイ子だ」
「ん、ッ、ワルイ子で、ごめんなさっ」
「お仕置きだ、レン」
「はィいいいッ」
勿論一回で済むわけがなく。
オレは朝からバロンにお仕置きされました。










「レン、どうしたの?」
「な、何がだい、イッキ」
「背中大丈夫?」
「だっ、だだだだ大丈夫だよ!」
イッチーの鬼みたいな電話と、ランランの電話でようやく解放されて。オレはヨロヨロで、仕事に来た。
そしたら、いきなりイッキのこのセリフ。
慌てて元気なアピールするけど、正直自分でもダメだと思う。
「ぅおおおおおとやァッ、このバカッ!」
うん!イッチー、それ逆効果!
「れ、レンッ。あ、あの、このクッションどうぞ!」
ドーナッツ型のクッションをくれて、イッチーは全力で顔を逸らしてくれた。
顔真っ赤!オレが泣きたいよ!
「レン、寝てても、いいぞ?」
「ランちゃん……」
ランちゃんが気遣ってくれるなんて珍しいね。だけど、それが痛いよ!
「ねーレンレンー。今、ミューちゃんからライン来てたんだけどー、帰り迎えに来るってー!腰ダイジョウブ?」
「……」
ブッキー……オレのコトキライなの?
「嶺二ィいいいいいいいッ」
「寿さんんんんんんんんんんッ」
「え、な、何っ?」
「あなたって人はぁあああアッ」
「え、ご、ごめんなさいっ?」
「レン、大丈夫?」
「……うん、帰っていいかな?」
「えっ、ダメだと思う!」
そこやはせめて頑張ろうとか言って欲しかったな、イッキ!
     
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