【世界一かわいい】主が逃避行した【俺というものがありながら】
【世界一かわいい】主が逃避行した【俺というものがありながら】

1 愛されてる子
主が逃避行しちゃった
慰めてくれて、愛してくれる人大募集だよ><
なんでもいいから話聞いて
下ネタとかムカつくのは削除するから優しくしてくれる人だけ来てね

2人目の愛してくれる審神者
加州たんかわいいよ!

3人目の愛してくれる審神者
世界一かわいいよ!

4人目の愛してくれる審神者
スレ主により削除されました

5人目の愛してくれる審神者
加州世界一だいすきだよ!

6人目の愛してくれる審神者
俺の近侍かわいいよ!

7人目の愛してくれる審神者
5>おwまwえwww

8 4
なぜだ…ペロハスしただけなのに

9 愛されてる子
主以外からはノーセンキュー

10人目の愛してくれる審神者
この加州冷静w

11人目の愛してくれる審神者
ワロタ

12 4
この世は悲しみに満ちていた…

13人目の愛してくれる審神者
wwwww

14 愛されてる子
かわいいって言ってくれてありがと
主がいなくてさみしいから、主との思い出とかいろいろ書いていくから、仕事が終わって暇な人だけ付き合って

15人目の愛してくれる審神者
この加州釘刺しおった

16人目の愛してくれる審神者
だから仕事は長谷部がやってるって言ってるでしょ!

17人目の愛してくれる審神者
16>おまえがやれw

18人目の愛してくれる刀剣
16>主、僕が優しく言い聞かせているうちにちゃんとやるんだ

19人目の愛してくれる審神者
18>おま、なんでここがわかったんだちくしょう!

20人目の愛してくれる審神者
(南無)

21人目の愛してくれる審神者
成仏しろよ…

22人目の愛してくれる審神者
まてまてまてまて俺は仕事してるってまってこれしごとだってばgひさbふぃなば

23人目の愛してくれる刀剣
いつから審神者という職業は仕事しない人間の代名詞になったんだい?

24人目の愛してくれる刀剣
俺のところは主が仕事をしてくれるのに、刀剣が仕事をしないんだが

25人目の愛してくれる審神者
それはどこの刀剣も一緒です

26人目の愛してくれる審神者
それはニー刀です27人目の愛してくれる来
うちのメガネがすまねえ

28人目の愛してくれる来
ま、国行だからね

29人目の愛してくれる審神者
おい全力で特定されてるぞ

30人目の愛してくれる来
これが仕事言うてるやん

31人目の愛してくれる来
他のみんなが仕事してくれてるんで

32人目の愛してくれる来
バランスとってるんや

33人目の愛してくれる来
そうそう。主もこんなやつが一人でもおらんと窮屈やろ。

34人目の愛してくれる審神者
息をするように言い訳始めたぞ

35人目の愛してくれる刀剣
うちの二ー刀を簀巻きにしてくる

36人目の愛してくれる刀剣
圧し切ってくる

37人目の愛してくれる刀剣
河へどんぶらこしてくる

38人目の愛してくれる審神者
37>優しいおじいさんとおばあさんに迷惑がかかるでしょw

39人目の愛してくれる刀剣
38>主の目下の悩みが解決するから問題ない

40人目の愛してくれる来
国行wwwww

41人目の愛してくれる来
元気でね

42人目の愛してくれる審神者
そしてばっさり見捨てられるという

43人目の愛してくれる来
うそやん

44人目の愛してくれる来
これは夢や

45人目の愛してくれる来
うちの蛍と国俊はそんな子じゃありません!

46人目の愛してくれる来
ちょっと蛍のおひざに行ってくる

47人目の愛してくれる審神者
wwwww

48人目の愛してくれる審神者
カワイソスwwww

49人目の愛してくれる審神者
なお、お気づきだろうか。スレ主の気配がないことを。

50人目の愛してくれる審神者


51人目の愛してくれる審神者


52人目の愛してくれる審神者


53 愛されてる子
(._.)モウイイ?

54人目の愛してくれる審神者
ごめん加州!

55人目の愛してくれる審神者
もういいよ!

56人目の愛してくれる審神者
話して話して!

57人目の愛してくれる審神者
かわいいよ!

58人目の愛してくれる審神者
世界一かわいいよ!

59 愛されてる子
みんなありがとう!
長くなるけどよろしくね

60人目の愛してくれる審神者
もちろんだよ!



「っ……は……は、ぁっ…」
 やっと出来た呼吸が、思いのほか苦しかった。喘鳴混じりのそれを必死で整えていると、背中の方から叱声が飛んだ。
「のんびりする暇があるなら戦え! まだ敵は残っているぞ。ぼうっとするなら死ね!」
「…かって、る……!」
 強がって見せたが、限界も近かった。柄を持つ手は無駄に力が入っていた。
 目前には敵が迫っていた。大きな刀身を振るい、今にもおろさんとしていた。ぐぉおお、と人ではない声をあげる。
 敵を見据える。倍以上もの図体を使い、刀身を振り下ろす。誰かが自分の名を呼び、また誰かは名ではなく呼称を使った。常ならば思わないが、どうにもむかっ腹が立った。
 隙だらけの敵を狙い、構えから一瞬で敵を屠る。のた打ち回り、ぐぅおおおお、と断末魔をあげていた。
 その背後に陰が迫り、
「さすが僕の弟丸」
 脳天から刺し貫く。黒影は砂塵のごとく風に流されていく。
「出来るならもっと早くしなよ」
「弟が危ない時くらい名前を呼んだらどうだ、兄者」
 剰え、死ねと喝を入れる兄が何処にいる。
 珍しい弟の反抗に、髭切はにっこりと笑う。くわっと目をかっ開いて怒鳴ってきたとは思えない呑気さだった。
「ええ? だっておまえが休憩してるから腹が立って」
「仕方ないだろう、兄者。やっとゲートを閉じることが出来たんだ。気も抜ける」
「それで死んだら本末転倒だろう?」
「にしてももっと言い方というものがだな」
「あ、石切丸くんは苦戦してるね。弟丸、手伝っておいでよ」
「なぜ俺の名前は覚えられないのに石切丸は覚えるのだ。それに兄者も行けばいいではないか」
「僕はちょっと休憩」
 疲れちゃった。てへ、と愛嬌たっぷりに笑う兄へ弟は吠えた。吠丸と言われようがこれは無理もない。
「そういうとこだぞ、兄者!」
「いってらっしゃーい」
 結局、兄の提言どおり加勢に行くのだから無駄なことはやめればいいのに。
 そういうところが可愛いから嫌いではないのだが。
 地べたに座り込み、一息入れていると、隣が埋まった。視線だけ向けると、瞳の中の三日月がこちらを向いていた。
「茶はどうだ?」
「もらおうかな」
 すると、何処からともなくふらりとまたひとつ影が現れる。
「おお、茶か。俺にも分けてくれ」
「いいぞ。余分に持って来ているからな」
「ああ、すまないな」
 反対側に重たい腰を下ろし、手渡された湯呑に口をつけた。一気に体の中に染み渡っていき、疲れを吹き飛ばしてくれる。
茶が齎す休息を味わっていると、だいぶ離れたところから怒鳴り声が聞こえてきた。
「鶯丸! なにのんびり茶をしばいている!」
「そう焦るな、大包平。これには理由があるんだ」
「ほう。なんだ?」
「疲れた」
「アホかぁっ!」
 敵を目前にしていなければ、今すぐにでもこちらへ来て首根っこを引っ掴んで連行していただろう。兄弟分の雄姿を眺めながら、鶯丸はホケホケと茶を味わっていた。茶飲み仲間たちもやんややんやと応援していたので、おまえらもだぞと怒鳴られていた。そんなに大声を出さずとも聞こえているし疲れるだけなのに、まったく無駄なことばっかりバカやっているなぁ、とのんびり観賞した。
 髭切はすっかり忘れていた弟を探す。どうやら近くにはいないらしい。ありゃ、見逃しちゃったな。目をぱちくりさせる。すぐにどうでもよくなって茶を啜った。
 気付けばひとつ余っていた茶もなくなり、同席者が増えていた。
「お主いつの間に?」
「さっきだ。……うまい、礼を言うぞ」
「なに気にするな」
 茶を淹れたのは三日月なのに、鶯丸が返事をする。三日月はホケホケと笑う。
 白い戦装束が汚れることも厭わず、否、既に汚れているからか地べたに正座して茶を啜る美丈夫は突っ込みをいれることもなかった。眼鏡が曇るのは気になるらしく、僅かに眉を顰めただけだった。
 さて、と周りを見渡すと敵はおおかた片付き、あと少しというところだった。未だ仲間の多くは交戦中だが、数で勝っているので楽だろう。疲れが気になる頃合いだろうが、だてに長年戦場を駆けまわっていない。この仮初の肉の器を得てから、その生の大半を過ごしたのだ。数で勝るなら心配はなかった。
 のんびりホケホケと茶を楽しんでいると、次々と仲間たちが寄ってきた。
「つーかーれーたー」
 ある者は甘酒をねだり、ないと答えればきゅうとそのまま突っ伏した。
「君たちはなにをのんきに、茶をしばいているんだ?」
 ある者は、これは驚いたと目を丸くして、ちゃっかり自分も茶と湯呑をおおめに持って来て混ざった。そしてすぐに何処からともなくやってきて、ある者はその茶を飲んでいた。「幸運の味ではなさそうです!」
 とは、本人の言である。
 そうしてわらわらと、次から次へ集まって、ようやく敵は残り一体となっていた。
「小狐や、がんばれ」
「三日月! あなたは後で話がありますからね!」
「歌仙! 貴様なぜそっちにいる!」
「すまないね……雅不足だ」
「それは雅なのか!」
「いいんだよ」
「うわぁい、あとでいち兄に説教されればいいんだ」
「鯰尾兄、よそ見すんな!」
「だーいじょうぶだって」
 背後から油断をついたが、気配を察していた鯰尾はひょいと避けた。厚はその間に入り応戦するが、いくらなんでも短刀では荷が重い。真正面から敵の攻撃に耐え忍ぶ。
「厚ー、がんばれー」
「手伝えよ!」
「ええー」
 加わるつもりはないらしい。腰を下ろして観戦していた。あとで長兄に怒られればいいんだ。心の裡で悪づく。
 くっ、と声を漏らす。押し負ける。本体は悲鳴をあげていた。気配を窺うが、やはり兄は参戦するつもりはないらしい。弟の危機だというのに! あの薄情ものめ。
 ならば隙をつかねば。しかし、敵は敗北を前にして油断も隙もなかった。火事場の馬鹿力というものを見せて来た。なぜよりにもよって今。
 長谷部や小狐丸が応戦するが、厚を格下と思い殺す気でいる。
 舐めやがって…! 舌打ちをすると、兄がニヤニヤ笑っているのが目に入った。ああもう腹立つ!
 絶対あとでぶん殴る。心に誓うと、一気に敵が重くなった。重みに耐えかねる、そのとき。腹に手がまわり、後ろへ引いた。
「鯰尾兄っ?」
「さっさと振り切っちゃえばよかったのに」
「重かったんだよ!」
「ぐへっ! こ、この…っ。せっかく回収してやったのに」
 弟のくせに! とぷんすか怒る兄に、一発顔に入れてスッキリした厚は敵を見遣る。
 ずしん、と膝をつき、さらさらと塵へと変貌する。風に乗り、正体をなくしていった。
 敵が消えると、見知った姿が見えた。なるほど。だから鯰尾は手を出さなかったのか。知っているなら言ってくれればいいのに。本当に無理をしなくてよかったのだ。
「兄弟がさっさと変わってやればよかったんじゃないか?」
「だって骨喰いるし。いっかなーってげいん!」
「いいかな。ではないね。鯰尾」
 鯰尾の悲鳴に振り返れば、長兄がいたにっこりと拳を握っていた。その後ろには叔父鳴狐もいる。手をいつものように狐の形にして、おつかれと言葉をかけてくれた。
「みんなもよくがんばりました」
 兄の言葉に、厚はニッと笑う。骨喰もホッと胸を撫で下ろすのが分かった。
「長谷部殿、小狐丸殿。弟たちをお守りくださりありがとうございました」
 拳骨を食らわせた鯰尾も含め、弟たちの頭を撫でる。最近気付いたことだが、兄はこうやって自分達弟の頭を撫でるのが好きなようだ。兄ぶりたいとは違う。単純に好きなようだ。子供ぽいからやめろと何度言ってもきいてくれないので、好きにさせている。嫌いではないのだ。嫌いでは。
「そこでのんびりしている方々はお説教です」
「なんと。俺もがんばったのだぞ」
「そうだそうだ、言ってやれ」
「あんた達往生際悪いな。……わり、ちょっと疲れた」
「不動殿はまだ来たばかりですし、次からは気を付けてくださいね」
「俺はどうなるのだ」
「はっはっは。今すぐ寝言を言えるようにその美しい三日月ごと掻っ切ってあげましょうか」
「なんと。小狐や、助けてくれ」
「自業自得じゃ」
「石切丸」
「私も今からお説教組なんだけどな。長引くのは嫌だから甘んじるんだね」
「今剣」
「三日月はぼくからもとくべつおせっきょうコースですよ」
「……岩融」
「はっはっはっはっは! 俺に助けを求めるか。その意気やよし。……だが助けられるのとはまた別だ。こうなった今剣は俺にも止められん」
 諦めろ。最終宣告を受けた三日月は、ぐったりと項垂れた。



 三日月が粟田口の長兄に死刑宣告を受けた時より、少しだけ時間は遡る。
 彼は迫りくる猛威に、一人笑みを浮かべていた。幸いにもその笑顔を見たものは誰一人としていない。この部屋には誰もいない。ごうごうと燃え盛る炎、刀がぶつかり合う音。何一つとして男を脅かすものはなかった。寧ろそれは天の助け。怯えるものではない。
 さてどうしようか。無為に逃げ惑い、怯えたふりをすることはない。ならば狂ったように笑って見せようか? 戦の指揮でもとってみようか? どれも捨てがたい。誰か一振り殺してみてもいい。一度やってみたかったのだ。人を殺すということを。ああたまらない! とても楽しいだろう!
 男が我知らず狂喜に浸っていると、近くから声が聞こえた。足音も複数響いている。ずしん、ずしん、と地響きもしていた。
 障子から身を乗り出すと、庭の方で交戦していた。禍々しい気配を宿した歴史修正主義者と対するは、粟田口の長兄とその叔父。それから左文字の末弟と、大倶利伽羅、燭台切。歴史修正主義者は次々と足音を響かせてこちらへ向かっている。反対側からは敵に押されて新撰組の面々が揃いも揃ってこちらへ集まってきた。
「げぇっ」
「あなた方、何を引き連れて来てるんですか。ご自分でどうにかしてくだされ」
「わかっている!」
「ははっ。ここはパパッとやっちゃって、カッコよく手伝ってあげたいんだけどねぇ! こっちの敵、あっちよりも強くないかい?」
「やっぱりそうだよね? 僕たち五人がかりでやっとなんだけど!」
「無駄口を叩く暇があるなら集中しろ!」
「無駄口叩かなくても倒せないじゃないか!」
「まずはおまえから切るぞ!」
「やってみれば? そのまえに敵が切ってくると思うけどねぇ。それってカッコ悪くないかい?」
「減らず口を…っ」
 相変わらずここの本丸は、仲がいいのか悪いのか。口論をよくするし、私闘もしばしば。審神者はそれを放っているばかりか観戦することもあった。
 まあいい。それよりも、だ。優先すべきは自分の命だ。いかにしてここから逃げるか。思案に耽っていると、歴史修正主義者が一体砂塵へと変わった。
「なに…っ」
「動くな」
 刹那、彼の首には白刃が押しつけられていた。
 視線だけで声の正体を見遣る。
「命が惜しいなら、息をするのも躊躇いなさい」
 揃いの戦装束を纏い、首を掻き切るにはうってつけの刀身を押し付けるのは、この本丸の古株だった。
「平野!」
「僕は呼吸をするのも躊躇えと言いましたが? 口を開くな、下郎」
 長兄に似て丁寧な言葉づかいであるはずが、その双眸にも刃を秘め、血も凍るような言葉を吐く。身の危険を察した時には既に遅かった。短刀たちに囲まれていた。
「しっかしよー、平野。いいのか?」
「ええ。疑わしきは罰しろ。罰してもいないのだからまだ生易しいものです。いち兄なら首をかっ飛ばしてましたよ」
「風評被害はやめなさい。腹を刺すだけです」
「刺してんじゃねぇか」
「一期一振、よけいなちゃちゃをいれないでしゅうちゅうしなさい」
「これは教育です」
「んもぅ。いち兄ったら負けず嫌いなんだから」
 応酬を交わしている間に、愛染が男の手足を縛り、猿轡をした。親指はしっかりと固定している。
 短刀たちとついてきた蛍丸はひょいっと庭へおりて、応戦中の仲間に加わっていた。
「僕と乱兄さん、蜻蛉切さん獅子王さんでここは見張ります。皆さんは加勢をお願いします」
「おう! 任せろってんだ! 蛍、ちゃんと残しとけよー」
「えー。じゃんじゃか切っちゃったよ」
「おまえなぁ」
「じゃあ俺らは休んでいい?」
「ダメに決まってんだろ!」
「つーかーれーたー」
「うるっさいな。戦えないなら下がってろよ!」
「ハァアアアア? 戦えますけど?ぜんっぜんヨユーですけど? おまえこそ弱いんだから引っ込んでろよ」
「何言ってんのバーカ。僕の方が強いでしょ」
「っるっせえ! 口動かすな! 俺が疲れる!」
 こんな時にまで口喧嘩が出来ることに、感心してしまう。いつも元気だなぁとは思うが、まさか敵に攻め込まれてもこの調子だとは思わなかった。おまけに、他の面々も何故か疲弊していたはずが押している。役に立つことがあるのか。こんな時でなければわからなかった一面だ。
 いけないいけない。縛られ、転がっている男を見下ろす。
 過日、この本丸へ来た男は審神者の見習いとして主の教えを受けていた立場だ。それが今やこんな姿とは。なんとも言葉にしにくいものがあった。
 刀剣達は見習いを歓迎していた。主がいつになく喜色を浮かべるのを見て、よかったと胸を撫で下ろしていた。
 主は笑わない。なんてことはない。けれど、どこか違うのだ。どことなく距離がある。それでいいと思っていた。自分達は主従であって、お友達ではない。その心を開くのは自分達でなくてもいい。或いは恋に落ちれば変わるのかもしれない。自分達は主に仕え、神として見守ろうと決めていた。
 見習いが来て、はじめて違う笑い方をする主を見て嬉しかった。こんな笑い方をするのだ。その笑顔を好きになった。もっと見ていたいと思った。
 だから、初期刀の言葉には耳を疑った。神妙な面持ちで、夢かもしれない、と自身を疑いながらも、それでも何かあったならばと不安を打ち明けてくれた。
 嘘であればいいと思った。嘘か、間違いであったならばどんなにいいだろう。
 監視すると言ったが、事実ではない証明をしにいくような心づもりだった。きっと初期刀は、平野を怒りはしない。仕方ないと言うだろう。
 見習いが乗っ取りをする様子はなかった。
 よかった。この本丸は守られる。主の笑顔を壊すことはないのだ。報告をしなくてよかった。そう思った矢先にこれである。
 この男が憎い。平然と、主の笑顔をぶち壊してくれた。殺してやりたい。いや殺す。この男の首を掻き切って、心臓を抉りだし、踏み潰し、すり潰してやるのだ。
 しかし、まだだ。まだ殺せない。主のために、平野はすんでで堪えていた。
 主は無事だ。初期刀がいる。どこかへ逃げのびてくれているはずだ。他でもない初期刀である。ならば、大丈夫だ。二振り目として降りてきた平野は、一振り目である初期刀を心から信頼していた。主とたった三人だった頃。二人で切磋琢磨し、この本丸を支えてきた。ともすれば、互いに兄弟よりも信を置いている。
 庭の面々を見遣る。ひとまず敵を屠り、一息ついていた。まだ刀はおさめていなかった。
 ついさっきまで応酬を繰り返していた彼らの顔に、不安がひと匙。しかし、確とした光もある。彼らもまた同じだ。自分達を通り過ぎ、主の手を引いて真っ先に逃げた初期刀を信じている。
 ああ。よくやってくれた。よくやってくれたとも。よくぞ主を守り、逃げてくれた。助太刀に加わることなく、声をかけることもなく、一心に前だけを見ていた。

『全員、敵を倒せ! 主命である!』

 ああなんと勇ましいことよ。刀剣達を鼓舞し、倒せと命じる主のいることがなんと心強いことか。
自分達を置いて逃げてくれた。奥歯をぐっと噛み締めて、前を向いていた。立ち止まることなく、交戦する自分達に涙することもなく。逃げのびてくれた。
たとえ、主が命を落としたとしても。これが今生の別れになったとしても。自分達の誇りをその目に焼き付けられた。どんなに悔恨が残ったとしても、それだけを慰めに還ることが出来る。
 平野は、緩む口元をおさえなかった。
 それでも、出来ることならばまたお仕えしたいものだと。ほんの少しだけ願望を滲ませて。



942人目の愛してくれる審神者
お、もうそろそろ1000か

943人目の愛してくれる審神者
次スレどうする?

944人目の愛してくれる審神者
950でいんじゃない?

945 愛されてる子
次は俺が立てるよ!

946人目の愛してくれる審神者
俺が、って加州立ててくれるのか

947人目の愛してくれる審神者
大変じゃないか?

948人目の愛してくれる審神者
俺たちに任せてくれていいんだゾ

949 愛されてる子
超余裕

950人目の愛してくれる審神者
この加州、慣れておる!

951人目の愛してくれる審神者
めっちゃ頼りになる感

952人目の愛してくれる審神者
か、加州なのに惚れそう…!

953人目の愛してくれる審神者
カッコいい!

954人目の愛してくれる審神者
カッコよく決まってるよね

955人目の愛してくれる刀剣
僕のセリフとらないでくれるかな!

956人目の愛してくれる刀剣
ケッ

957人目の愛してくれる審神者
956>おまえ安定だろwww

958人目の愛してくれる刀剣
加州より僕の方がカッコイイしかわいいね

959人目の愛してくれる刀剣
加州ってどこのブスだっけ?

960人目の愛してくれる刀剣
んだとゴラ喧嘩売ってんのか?

961人目の愛してくれる刀剣
お?お?買ってやろうじゃん

962人目の愛してくれる審神者
おまえらよそでやれwww

963人目の愛してくれる審神者
専用スレで喧嘩しろ

964人目の愛してくれる審神者
でもなんだかんだ言ってニコイチだよな

965人目の愛してくれる審神者
仲良いよな

966人目の愛してくれる刀剣
は?

967人目の愛してくれる刀剣
何言ってんの目悪いんじゃない?

968人目の愛してくれる刀剣
こいつと一緒にしないでくれる?

969人目の愛してくれる審神者
(やっぱ仲良いじゃん)

970人目の愛してくれる審神者
(喧嘩するほどなんとやら)

971人目の愛してくれる刀剣
今すぐおまえんち行って叩き切ってやる

972人目の愛してくれる刀剣
ついでに加州もやってこい

973人目の愛してくれる刀剣
返り討ちにしてやんよ

974人目の愛してくれる審神者
仲良くしろよ

975人目の愛してくれる審神者
おまえら二人ともかわいいしカッコいいから

976人目の愛してくれる刀剣
俺のほうがかわいいしカッコいい

977人目の愛してくれる刀剣
僕の方がかわいいしカッコいいに決まってるでしょ

978人目の愛してくれる審神者
wwww

979人目の愛してくれる審神者
火種www

980人目の愛してくれる審神者
ほんとこいつらしょうがねーな

981人目の愛してくれる審神者
ここにかねさんとか加わるとやばい

982人目の愛してくれる審神者
長曾祢もわりと放置するからな

983人目の愛してくれる刀剣
弟の面倒で十分だ

984人目の愛してくれる刀剣
誰が弟だ

985人目の愛してくれる刀剣
贋作に面倒を見られるなんて真作をなめるなよ

986人目の愛してくれる審神者
怒涛の真作

987人目の愛してくれる審神者
これだからハッチは

988人目の愛してくれる審神者
(でもアイツブラコンだよな)

989人目の愛してくれる審神者
(おまえ…死にたいのか)

990人目の愛してくれる審神者
(なむなむ)
991人目の愛してくれる刀剣
贋作なんて兄じゃない

992人目の愛してくれる審神者
(弟が贋作だったらどうなんだろう)

993人目の愛してくれる刀剣


994人目の愛してくれる刀剣


995人目の愛してくれる刀剣


996人目の愛してくれる審神者
やめてやれよ!息してないじゃないか!

997人目の愛してくれる審神者
正直すまなかった

998 愛されてる子
おねがいがあるんだけど、次のスレでは500まで同じかんじで喋って。500からは本題に入るから。このことに関する質問とかも500からでお願い。500より前にあったら即行削除するから。だからみんなお願いうちの主を助けて。

【世界一かわいい】主が逃避行した2【俺じゃなくて?】


999人目の愛してくれる審神者
は?

1000人目の愛してくれる審神者
え?

1001人目の愛してくれる審神者
このスレは1000になったのでもう書き込めません


 大広間にはすべての刀剣が集まっていた。この本丸唯一無二の初期刀と、見張り役の数名をのぞいて。
 二番目に降り立った平野は、これまでの経緯を説明した。
 事情を知らなかった面々は、険しい顔つきで深く考え込んでいる様子だった。山姥切と二人だけで進めてしまい、他の誰にも相談することなく、ましてや主にすら上奏しなかった。この事態は二人が招いたといっても過言ではない。その負い目もあって、声もかけられずにいた。
 稍あって、なるほどと長兄が呟く。
「ならば話は早い。外に助けを求めればよいのです」
「外、ですか? 今はゲートを閉じてるんですよ」
 だから主も帰って来れないのだ、と言外に滲ませる。
 突如現れた歴史修正主義者は、ゲートから次々と押し寄せいていた。主を逃がすことが出来たため、放っておけば際限なく押し寄せてくるゲートは開けている理由がなかった。むしろ閉ざしてしまった方がいい。主が帰って来られなくなる。一抹の不安が過ったが、生き延びることがなにより大切だった。いざというときに守れないなら意味がない。
 一期は分かっているとでも言いたげな顔だった。
「なにもゲートを使い直接助けを求めにいくことだけがすべてじゃないだろう。通信手段は遮断されていないんだ、ちゃんねるとやらを使えばいいだろう」
「ですが、それは」
「敵に監視されている可能性もあるだろう。一か八か。今のままでは敵が攻めこまずとも主を失ってしまう。ならば賭けに打って出るしかない。もちろん、予防線を張った上でね」
 予防線、と訊ねるより先に、一期は視線を移す。
「加州殿はちゃんねるをご存じですか?」
「暇なときに見るくらいだけどわかるよ」
「ならば、加州殿に任せましょう。色恋の方面にも通じてますし。なに恋物語はお任せを。私と、そうですね……三日月殿、小烏の父上殿、それから鶴丸殿などがいれば恋絵巻が出来ましょう」
「はっはっは。言ってくれるな、一期。腕が鳴るではないか」
 三日月は、瞼の下から怪しい夜空を覗かせた。背中を冷たいものが走る。いったい何をする気だ。
 一方、鶴丸は驚きの結果をもたらすぜ! と、部屋を飛び出して行った。単独行動は避けようと話し合ったばかりだというのに。そのあとを物凄い勢いで長谷部が続く。鬼のような形相で。
 あの二人が組んでしまった方がまずいのでは。ふと脳裡に最悪が過る。箍を外したらまずいのは長谷部の方だ。主のためならばととんでもないことをしかねない。
 さぁっと蒼褪めた平野を察し、同郷の日本号や博多、厚、小夜が後に続く。宗三や燭台切らは興味がないといった風だ。とにかくあの二人だけにならないだけましだと思うことにした。
「いち兄。なにをするつもりですか?」
 弟の問いに、一期はニッと笑った。珍しい。兄がこんな風に挑発的に笑うなんて。
「簡単だよ、平野」
 要は、ふるい落せばいいんだ。
 平野はきょとりと目を丸くした。ふるい落す? 何を? どうやって?
 まるで考えていることがわかる、とでも言うように一期はクスリと笑った。
「そうだね。順序立てて話そう。まず、あの見習いは乗っ取りを企てていた。そうだね?」
「はい」
「なら、目的は?」
「目的ですか?」
「そう。目的。乗っ取りをしたいなら呪いでもなんでもすればいい。もしくは、回りくどいことをせず、権力を使えばいい。平野。私はね、何故乗っ取りをするために歴史修正主義者がここへ来たのか。それが疑問なんだよ」
 ハッと、息を飲む。同時に、他の面々からも同様にきこえてきた。幾人かは気付いていたというように平然としていたが。
 一期は平野の鼻先に指を向ける。
「平野なら、どうする? 歴史修正主義者を送るかい。わざわざ。それに、あれをどこから呼び寄せる?」
「まさか…!」
「そう。単なる乗っ取りじゃない。あれは、歴史修正主義者の一味。その可能性がある。しかも、担当である彼も」
 なんということだ。ならば、主は? 無事だと安堵していたが、あのゲートから抜けたからといって安心出来なかったのだ。
 席を立とうとした平野を、素早く一期がおさえた。
「待ちなさい」
「けど!」
「主は無事だ。おそらく、敵にとって主が一目散に逃げるというのは予想外だったに違いない。主もここで殺す腹積もりだったろうね」
 言葉で諭しながら、決して無事ではない保証はないことを一期は頭から消せずにいた。平野の考えることはもっともだ。言葉では無事だと言ったが、ゲートの先で待ち構え、殺していたかもしれない。
 否。敵は、一期たちをも狙ってきた。主だけではなく。ならば、敵の目的は殲滅。足止めにしては戦力が大きすぎる。ゲートの向こうには歴史修正主義者が続々と迫ってきていたのだ。
 担当も敵の一味だとするならば、いつから?
 この本丸は、いつから敵の標的になっていた?
 いったいなんのために見習いを送り込み、歴史修正主義者を送り込んだ?
「見習いはあくまでも乗っ取りを企てていた、というていをとっていた。歴史修正主義者と繋がっているとまだ知られるわけにはいかないのだろう」
 平野は、まだ迷いと不安の抜けない目で一期の目を見詰めた。
 大丈夫。自分を嘘で塗り固めて、弟に嘘のない目を向けた。
「政府もどこまで信じればいいのか分からない今、ちゃんねるを見ている人達の方が敵になりにくいだろう」
「ですが、敵も見ている可能性が」
「だからふるい落すんだ」
 その方法だけには、自信があった。
 平野から加州へと視線を移す。加州は、目をぱちくりとさせた。
「お訊ねしますが、ちゃんねるを見ているような方々は要するにお暇なのだと思っても?」
「そーね」
「そういった方々は我らのような刀剣の助けを求める声を、無碍に蹴り落としますか?」
「そういう人もいるかもだけど、まあ少ないんじゃない?」
 望む答えを手に入れ、一期はにっこりと笑った。
「加州殿は嘘のスレッドを立ててください。内容は、主が逃避行したというものでいいでしょう」
「へ?」
「そのための恋物語は我らが用意します。日常のものもまあ大丈夫でしょう。一つのスレッド丸々費やしてください」
「そ、そんなことしてどうすんの?」
 加州は目を白黒させ、身を乗り出す。
 平野も呼吸が止まった。
「敵がもしスレッドの中を探しているとするならば。なんとしてでも我々を探し当てたいはずです。次から次へ、無数に立つスレを片端から探しているでしょう」
「だからって」
「ですが、内容までは読めないはず」
 刹那、しんと静まり返った。
「念の為、最初のスレッドだけは最後まで嘘の内容を続けます。スレッドの最後に、嘘である旨と助けを求め、次のスレッドへ。ええ、こちらも敵が見ている可能性も考え、半分ほどまでは先の内容と同じようなことを。……ああ、そうですね。一つ目の最後にあわせて注意書きも必要でしょう。本題は半分よりあとで話す、と。敵もまさか二つ目のスレッドまでしっかり読むことはないでしょうし、もしそこまでしているとするならば、いずれにしろ手遅れです」
 ハッキングなどをされていても手遅れだ、とは言わなかった。
 穴だらけの推察に、聞き入っている。幾人かはやはり気付き、それでも止めはしないあたり他に上策はないのだろう。
 このまま意見を押し通したとして、主が助かるとは限らない。だが、他に術がないのならば手を打つしかない。
「決断を」
 見習いという時限爆弾がいる以上、時間は味方してくれない。ゲートとていつこじ開けられるか。
 ならば、主を助けることを第一に考えるべきだ。




【世界一かわいい】主が逃避行した2【俺じゃなくて?】
1 愛されてる子
このスレは主に逃避行されちゃった世界一かわいい俺がお送りします><


加州清光
主に逃避行された。さびしい。


逃避行した。俺というものがいながら。
世界一愛してくれてた。

大倶利伽羅
くりちゃん。
主と逃避行しやがった憎き敵。

下ネタ、ムカつくのは即行削除するから、俺に優しくしてね。

2人目の愛してくれる審神者
スレ主により削除されました

3人目の愛してくれる審神者
スレ主により削除されました

4人目の愛してくれる審神者
加州逃避行されたのwww

5人目の愛してくれる審神者
初見か?

6人目の愛してくれる審神者
今北産業

7人目の愛してくれる審神者
ggr

8人目の愛してくれる審神者
それムリwwww

9 愛されてる子
前スレからの人はまた付き合ってね

10人目の愛してくれる審神者
もちろんだよ加州!

11人目の愛してくれる審神者
世界一かわいいよ加州!

12人目の愛してくれる審神者
いっぱい愛してるよ加州!

13人目の愛してくれる審神者
(初期刀なのに主に逃げられる加州も珍しい)

14人目の愛してくれる審神者
(しっ)

15人目の愛してくれる審神者
(執念で追いかけそうなのに…)

16 愛されてる子
ふぇええん><

17人目の愛してくれる審神者
オルァア!黙れ愚民ども!

18人目の愛してくれる審神者
加州たんの話を聞くのじゃ!

19人目の愛してくれる審神者
wwww

20人目の愛してくれる刀剣
どうでもいいけどさっさとしたら?

21人目の愛してくれる刀剣
今なんつったテメゴルァ

22人目の愛してくれる刀剣
うるさいブス

23人目の愛してくれる刀剣
おまえがな!

24人目の愛してくれる審神者
またはじまった

25愛されてる子
(._.)

26人目の愛してくれる審神者
ほら〜加州がないちゃったじゃーん

27人目の愛してくれる審神者
せんせー!加州くんと大和守くんが加州くんを泣かせましたー!

28人目の愛してくれる審神者
加州が加州を泣かせたwwwww




483人目の愛してくれる審神者
加州wwwかわいそうなのにwwwwめっちゃ笑うwwwww

484人目の愛してくれる審神者
くりちゃんのデレに俺の燭台切が腹筋崩壊してる

485人目の愛してくれる審神者
くりちゃん対新撰組に俺氏胸熱

486人目の愛してくれる審神者
俺のところは新撰組が大倶利伽羅に突撃しに行ったんだけど

487人目の愛してくれる審神者
全国の大倶利伽羅さんご愁傷様です

488人目の愛してくれる審神者
俺のところの加州がめっちゃ共感してる

489人目の愛してくれる刀剣
恋仲になれたらいいなぁって思うけど、やっぱり主は主だよ!

490人目の愛してくれる刀剣
そろそろ主を神隠ししそうな刀剣第一位を返上したいのだが

491人目の愛してくれる刀剣
最近では小烏丸さんが上位に食い込んでるよね

492人目の愛してくれる刀剣
父は皆の父故
子から父と母を奪うのは胸が痛む

493人目の愛してくれる刀剣
とかなんとか言いながら否定しませんからね

494人目の愛してくれる審神者
ふと庭を歩いていた小烏丸に微笑まれた俺
ゾッとした

495人目の愛してくれる審神者
やめろ、父上の話はするんじゃない!

496人目の愛してくれる審神者
本丸の怪異スレにもたびたび上がる刀剣の話はやめるんだ!

497人目の愛してくれる審神者
全国の無害な小烏さんとまだ見ぬ小烏さんへのあつい風評被害

498人目の愛してくれる審神者
加州が悲しむから話してくる、って言ったところまではよかったんだけどなぁ

499人目の愛してくれる審神者
そのあと大倶利伽羅も子だとか言って寝返ったからなぁ

500人目の愛してくれる審神者
父には子を選ぶなど薄情な真似は出来ぬ
お主らで話し合い、解決するがよい
案ずるな、父がきちんと取り持つ故

501人目の愛してくれる審神者
何が安心なのか1ミクロンもわからない

502人目の愛してくれる刀剣
(新しい刀剣ほど性格がヤバくない?)

503人目の愛してくれる刀剣
(正直俺らの存在霞んでない?)

504人目の愛してくれる刀剣
(粟田口なんかカオスの倉庫だよ。あそこ最初からカオスだったのに。人妻とか懐とか)

505人目の愛してくれる刀剣
俺はビッグになりたいだけなんで除外してください

506人目の愛してくれる刀剣
そうだそうだ薬研よりマシだ

507人目の愛してくれる刀剣
俺っちより秋田とか五虎退の闇の方がヤバいだろ

508人目の愛してくれる刀剣
それ以上言ってはいけない

509人目の愛してくれる刀剣
私は正直なところ弟がたくさん来てくれて嬉しいですが

510人目の愛してくれる刀剣
弟に愛されるコツを教えてください

511人目の愛してくれる刀剣
兄弟刀にバカにされないコツを教えてください

512人目の愛してくれる刀剣
兄者に名前を覚えてもらうコツを教えてください

513人目の愛してくれる刀剣
兄弟が蔵から出てくるコツを教えてください

514人目の愛してくれる刀剣
弟丸の名前を覚えるコツを教えてください

515人目の愛してくれる刀剣
兄弟が働くコツを教えてください

516人目の愛してくれる審神者
wwwwwww

517人目の愛してくれる審神者
なにげに髭切もいるwwww

518人目の愛してくれる審神者
悩みの元凶、おまえらだぞwwww

519人目の愛してくれる刀剣
はぁ、仕方ない。
贋作が真作になるコツを教えてください。

520人目の愛してくれる審神者
おwまwえwwwwww

521人目の愛してくれる審神者
兄って書くのが嫌だったんだwwww

522人目の愛してくれる審神者
長曾祢がかわいそうすぎて明日から顔見る度に腹筋が息をしないかもしれない

523人目の愛してくれる審神者
それ笑ってるwww

524 愛されてる子
さて、もういいかな?

525人目の愛してくれる審神者


526人目の愛してくれる審神者


527人目の愛してくれる審神者

528人目の愛してくれる審神者


529人目の愛してくれる審神者


530人目の愛してくれる審神者


531人目の愛してくれる審神者


532人目の愛してくれる審神者


533 愛されてる子
あれ?

534人目の愛してくれる審神者
やっとか!やっとなのか!

535人目の愛してくれる審神者
なに最初の方の削除!びっくりしたわ!

536人目の愛してくれる審神者
俺も!がんばってたえたよ!

537人目の愛してくれる審神者
え、なに?なんなの?

538人目の愛してくれる審神者
前スレ読んできた方がいい?

539人目の愛してくれる審神者
いや、あれは削除されてる

540人目の愛してくれる審神者
前スレの最後あれなに!?

541人目の愛してくれる審神者
気になりすぎてお昼寝したわ

542人目の愛してくれる審神者
541>仕事しろ

543 愛されてる子
みんなごめんね。
でも監視されてる可能性もあって、みんなで相談してこの方法をとったんだ。
おねがい。みんなの力を貸して。主を助けて。

544人目の愛してくれる審神者
え、待って。今までの話は?

545 愛されてる子
ごめんあれ嘘

546人目の愛してくれる審神者
は?

547 愛されてる子
順を追って話すね
このスレ見たことある人いる?

どうしたらいい?

548人目の愛してくれる審神者
なにそれ?

549人目の愛してくれる審神者
タイトルなに?

550人目の愛してくれる審神者
ない

551人目の愛してくれる審神者
これがなに?
つか落ちてね?

552人目の愛してくれる審神者
まとめもリンクもないし

553 愛されてる子
概要を説明すると、うちの本丸に見習いが来たんだけど、乗っ取り企んでるかもってやつ。

554人目の愛してくれる審神者
は?

555人目の愛してくれる審神者
マ?

556人目の愛してくれる審神者
え、

557 愛されてる子
勘違いかもしれないから、様子見てたんだけど、うちの本丸襲撃された。主は逃げたけど安否はわかんない。ゲートは主が逃げてから閉じた。敵が次々入り込んできたから。

558人目の愛してくれる審神者
まてまてまてまて

559人目の愛してくれる審神者
まって

560人目の愛してくれる審神者
加州たちは無事なのか!?

561人目の愛してくれる審神者
明らかにその見習い黒だろ!担当に連絡しろよ!

562 愛されてる子
担当もたぶん黒。俺たちは無事。
敵がスレ見てる可能性もあるから、ふるい落すために1スレ丸々嘘で消費したの。ごめん。
おねがい、主を助けて。今どこにいるかもわかんない。どうしたらいいかもわかんない。

563人目の愛してくれる審神者
そりゃしかたねぇな

564人目の愛してくれる審神者
やばすぎてとりあえず初期刀呼んだ

565人目の愛してくれる審神者
俺近侍呼んだ

566人目の愛してくれる審神者
俺誰も来てくれないから寂しくて震えてる

567人目の愛してくれる審神者
566>ドンマイ

568 愛されてる子
せめて主と連絡がとれればいいんだけど

569人目の愛してくれる審神者
端末は持ってないのか?

570 愛されてる子
連絡してるけどつながらない

571人目の愛してくれる審神者
充電落ちてるかもなぁ

572人目の愛してくれる審神者
全然関係ないけど、俺としてはなんで逃避行の相手をくりちゃんにしたのか気になってだな

573人目の愛してくれる審神者
wwww

574人目の愛してくれる審神者
今はそんな場合じゃないって言いたいけど言われたらめっちゃ気になったwwww

575 愛されてる子
くじ

576人目の愛してくれる審神者
wwwwww

577人目の愛してくれる審神者
くりちゃんwwww

578人目の愛してくれる審神者
ある意味もってるよwwww

579人目の愛してくれる刀剣
くりちゃんにずんだ餅作ってあげよう

580人目の愛してくれる刀剣
くり坊を全力でからかって驚かせてやろう

581人目の愛してくれる刀剣
って考えるだろう鶴さんとくりの間をとりなしてやろう

582人目の愛してくれる審神者
流れるような伊達組の連携wwww

583 愛されてる子
24もしないで
誰が敵かわかんないから
なるべく誰にも言わないで
そんな場合じゃないってわかってるけど

584人目の愛してくれる審神者
うん、わかってる

585人目の愛してくれる審神者
俺一人だけ抱えるには多すぎるので刀剣を呼ぶのは許してください

586人目の愛してくれる審神者
長谷部!長谷部ぇええええ!

587人目の愛してくれる長谷部
ここに

588人目の愛してくれる審神者
早いwww

589人目の愛してくれる審神者
機動力おばけ…

590 愛されてる子
あ、あと主男なんだ

591人目の愛してくれる審神者
くっそwwwwww

592人目の愛してくれる審神者
女の子で想像してたのに夢壊すなよ!

593人目の愛してくれる審神者
大丈夫だ、俺の中では女の子のまま変換した。逃避行と行方不明は別の主。

594人目の愛してくれる審神者
そんな簡単に変換できるかwww

595人目の愛してくれる審神者
ちゃんと注意書きしてって言ったでしょ><



 彼は、その日仕事を忠実にこなしていた。
 時折、プライベートの端末を眺めたり、仕事用の端末で任務と称してスレッドを眺めていたりしたが概ね忠実にこなしていた。彼の後ろをたまさか通りがかった上司がまたかと半目で見ていたりしたが、仕事はしている。サボっていない。これは目が文字ばかり追っていると疲れてしまうから息抜きなだけだ。
 いつものごとく心の中で言い訳をしていると、知人からのメッセージが届く。審神者として活動しているこの知人は、自身と同じく息抜きが多い人物ではあるが、本業では優秀と言われているのでなかなかに解せないところがある。彼はサボりが多いとよく上司にぼやかれるのだ。自分と知人のどこが違うのか。やはり顔だろうか。
 とりとめのない疑問に身を投じつつ、手はメッセージへと行きついていた。また上司が見ているが、仕事の一環というていを崩さない。審神者からの情報も立派な仕事だ。
 メッセージに目を通す。短く、簡潔に書かれている。いや。リンクしか載っていない。乗っ取りされたのか? 疑いつつも、恐る恐るリンク先へ進んだ。上司にはそういうところだぞ、と呆れられる一面だ。
 ざっと目を通して、彼は椅子ごとひっくり返った。
「かかかかか課長! 課長! 仕事! めっちゃ仕事ですやん!」
「落ち着け」
「これ! これ見てください!」
 課長のデスクを乗っ取り、同じ画面を映す。
 席を返し、中身を読んでもらう。徐々にその顔つきが変わっていく。
 彼はその間に自分のデスクへと戻り、自身の仕事用の端末を忙しなく働かせる。その間に、なんだなんだと人が寄ってきた。
「はぁっ?」
「おい、どうだ」
「有り得ない……」
 彼は、呆然とした。
 有り得ない。正しく、言葉通り。
 彼らの周りを囲んでいた同僚たちはデスクを覗き込み、顔色を一変させる。そして、同じセリフを漏らした。
「課長。この本丸、データにありません……」
 何度検索をかけても、方法を変えても、そこに表示されることがなかった。
 上司は椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がり、ズカズカと彼のデスクの前まで来ると画面を覗き込んだ。
 そこには、あるはずの本丸の情報が一切記載されていなかった。



611人目の愛してくれる審神者
加州戻ってこないな

612人目の愛してくれる審神者
俺らなんも出来なかったからな

613人目の愛してくれる審神者
せめて政府に連絡させてほしいけど、でも担当が黒だったことを考えると

614人目の愛してくれる審神者
それ

615人目の愛してくれる審神者
俺の担当黒じゃない、よな?

616人目の愛してくれる審神者
やめるんだ

617人目の愛してくれる審神者
あえて考えないようにしていたのに!

618人目の愛してくれる審神者
なんてことを言うんだ!

619人目の愛してくれる審神者
ホラーかよ

620人目の愛してくれる審神者
めっちゃ怖い

621人目の愛してくれる刀剣
もし担当が黒だったら首を落とす

622人目の愛してくれる刀剣
雅に散る資格はない

623人目の愛してくれる刀剣
首を狩って歴史修正主義者に食わせてはどうだろうか

624人目の愛してくれる刀剣
それはいいですね!

625人目の愛してくれる審神者
やだ過激…

626人目の愛してくれる審神者
最後にいたっては共食いかよ

627人目の愛してくれる審神者
共食いwwww

628人目の愛してくれる審神者
まあ実際可能性はなきにしもあらずだよな

629人目の愛してくれる審神者
つかこの本丸こんのすけいないのか?

630人目の愛してくれる審神者
そういえば

631 愛されてる子


632人目の愛してくれる審神者
加州!

633人目の愛してくれる審神者
なんか進展あったか?

634 愛されてる子
うちのこんのすけ、どこ行った?

635人目の愛してくれる審神者
は?

636人目の愛してくれる審神者
ナンテ?

637人目の愛してくれる審神者
んん?

638 愛されてる子
ちょっと前まではいたんだよね
あれ?なんでいなくなったんだっけ?メンテ?
ごめんちょっときいてくる

639人目の愛してくれる審神者
おいいいいいいそれ大事!

640人目の愛してくれる審神者
こんのすけなんでいないんだよ!やばいよ!めっちゃ担当怪しいじゃん!

641人目の愛してくれる審神者
ちょっと前まではいたって
待ってむしろなんで今いないの?

642人目の愛してくれる審神者
しかもそれを刀剣が理由分かってないって

643人目の愛してくれる審神者
俺石切丸にお祓いしてもらお

644人目の愛してくれる審神者
塩持ってこよ

645人目の愛してくれる審神者
塩が黒く染まったらどうしようと思って出来ない俺がいる

646人目の愛してくれる審神者
だから怖いこと言うなよ!



「ダメです! メッセージを送れません!」
「こちらも不可能です」
 上司は、歯噛みした。
 常ならば部署全員がひとつの本丸にかかりきりになることは滅多にない。彼らも暇ではない。故人で取り扱える範囲ならば可能な限りは助けない。
 しかし、この件はおかしかった。なにせ本丸自体が存在しないことだ。剰え、存在しないまま数年の時が経っているということだ。
 いつから? 誰が? なんのために?
 それだけじゃない。問題は、これがひとつではない可能性があるということだ。スレッドとやらを見る限り演練には出ているようである。はずなのに、その記録も見当たらない。綺麗に消されているのである。
 ならば怪異か、もしくは偽りか。こんな手の込んだものがあるか。
 この本丸が存在するものとして考えた時、事態は最悪なことになる。歴史修正主義者との戦いが拮抗している今、敵はこちらの手をすりぬけて王手をかける下準備をしていたことになる。となれば、他の本丸や、それだけじゃない。地上に存在するすべての人間、歴史が危ういのだ。
「何か、手は……」



709人目の愛してくれる審神者
加州帰って来ないな

710人目の愛してくれる審神者
大丈夫かな

711人目の愛してくれる審神者
それより加州達の審神者がやばいんじゃないか?

712人目の愛してくれる審神者
それな
帰ってくることも出来ないんだろ?

713人目の愛してくれる審神者
これ助かってても、逃げた先で…

714人目の愛してくれる審神者
やめるんだ

715人目の愛してくれる審神者
悪いことは考えないようにしよう

716人目の愛してくれる審神者
こわいから青江呼んで来よう

717人目の愛してくれる審神者
716>そっちじゃない

718人目の愛してくれる刀剣
優しく抱いてあげるよ……抱擁のことだよ?

719人目の愛してくれる審神者
おかえりください

720人目の愛してくれる審神者
まだ出番じゃありません

721人目の愛してくれる審神者
数珠丸さん、おたくの弟さんが門限破ってますよ

722人目の愛してくれる刀剣
お世話をおかけしました
723人目の愛してくれる刀剣
青江、帰りますよ

724人目の愛してくれる刀剣
数珠丸って冗談が通じないんだよね

725人目の愛してくれる刀剣
厄介なのが来ちゃったな

726人目の愛してくれる審神者
おまえらはお兄ちゃんになんてこと言うんだ

727人目の愛してくれる審神者
めっ

728人目の愛してくれる審神者
お兄ちゃんを大事にしなさい

729人目の愛してくれる刀剣
おにいちゃんじゃないもん

730人目の愛してくれる刀剣
そのような悲しいことを言わないでください

731人目の愛してくれる審神者
あーあいけないんだー

732人目の愛してくれる審神者
おにいちゃんないちゃったじゃーん

733人目の愛してくれる刀剣
もう!ちょっとだまってて!

734人目の愛してくれる審神者
wwww



「どうする?」
「さて。困りましたな」
 彼らは、選択を迫られていた。
 政府に助けを求めるか。否か。
 こんのすけに端を発した事態は、平野ですらその所在を知らず、ましてやメンテナンスの話を聞いていなかったことに始まる。主の部屋を探すが、記録もない。担当とのやり取りも機械的で、この本丸は危うい砂上の楼閣だったことを知る。
 外との通信手段がない。その状況下、政府へ助けを求めるべきか否かの選択を迫られていた。
 スレッドの審神者や刀剣に連絡をすれば、誰かが助けに来てくれるだろう。だが、主は? 今主がどこにいるかわからない以上、敵の手に落ちている可能性だってある。政府に手を委ねれば殺されてしまうかもしれない
 危うい綱渡りなどしなければ! そもそも、主を外へ逃がさなければ。
 穴だらけの推察のツケが回ってきたのかもしれない。
「ゲートを開けましょう」
「は、ハァッ?」
「私が押しとどめます。何人かいれば心強いですが、無理にとは言えません。折れてこの身が二度と還れずとも。主が帰ってくるまでは持ちこたえて見せましょう」
「何言ってんの!」
「そうでもしなければ!」
 そうでもしなければ。
「主を、お救い出来ぬではありませんか……」
「……バカ…。あんたがいなくなるのも、ダメに決まってんでしょ」
 意気消沈、項垂れる一期の額を小突く。
 しかし、もうそれしかすべが残されていないことも理解していた。
 外と連絡がとれない今、頼れるのはゲートだけ。スレッドに助けを求めるのも無理だ。
 ならば、一か八かに賭けるしかない。
 けれど。
「主、泣いちゃうよ。やっと笑えるようになったのに」
 それは偽りのものだったけれど、束の間、普通に笑うようになったのだ。どこか距離を置くものではなく。真実人の子のように笑うようになったのだ。たとえそれが偽りだったとしても。
 だのに、一期が折れてしまい、それが自分のせいだと知ればもう笑わなくなるかもしれない。泣いて、悲しんで、それでも無理に前を向くだろう。戦の指揮をとり、懸命に立つだろう。もう笑わないだけ。ワガママだろうと、加州はそれが悲しくてならない。
 一期は悔しさに歯軋りした。嫌な音に頭が痛くなりそうだ。
「主……」
 もうそれしか方法がないならば。
 前を向いた加州の目は、決然とした色を浮かべていた。



817 愛されてる子
ごめん

818人目の愛してくれる審神者
加州?

819人目の愛してくれる審神者
釣りだよな?嘘宣言だよな?

820人目の愛してくれる審神者
モウオシオハイラナイ?

821 愛されてる子
ゲートを、開ける

822人目の愛してくれる審神者
は?

823人目の愛してくれる審神者
おいおいおいおいおいおいいいいいい

824人目の愛してくれる審神者
何言ってんの?

ナニイッテンノ??????

825人目の愛してくれる審神者
早まるなって

826 愛されてる子
もう他に方法がない
一か八かに賭ける
ゲートを開けて、主を探しに行く

827人目の愛してくれる審神者
敵が押し掛けてきたらどうするんだよ!

828人目の愛してくれる審神者
おまえらだって危ないんだぞ

829人目の愛してくれる審神者
そうだよ!

830 愛されてる子
みんなとも話し合ったけど、たぶんこれしかない
こんのすけも頼れない
いつのまにかいなくなってる
担当も頼れない

831人目の愛してくれる審神者
待て!
だとしてももう少し考えよう!

832人目の愛してくれる審神者
そうだ。何かいい方法が浮かぶかもしれないし。

833 愛されてる子
ありがと

834人目の愛してくれる審神者
加州!

835人目の愛してくれる審神者
釣り宣言はまだ?

836人目の愛してくれる審神者
いっそ釣りであったなら

837 愛されてる子
じゃあね

838人目の愛してくれる審神者
加州ぅうううううう

839人目の愛してくれる審神者
まて!!!!!

840人目の愛してくれる審神者
加州!


 凍てつく冷たさが襲いくるようだった。
 必死に掻き抱いてもするするとすり抜けていくようで、存在すらも曖昧だった。何度も朧に目を開けては、存在を確かめて安堵した。それでもまた不安になって同じことを繰り返した。
 限界が見えていた。なんとか凌いできたが、選択を迫られていた。誤魔化しが通用しなくなってきた。
「しっかりしろ。あんたは弱くない」
 薄ぺらい。己が弱い。
 ピクリと僅かにでも反応があればよかった。もはやその反応も辛うじてといったていで、喘鳴すら紡げなくなっていた。
 時を経るごとに弱って行く様を見ていることしか出来なかった。あの手この手を尽くしても、結局はその脆い生命力に委ねるしかない。祈り、願い、生きていることに安堵することを繰り返し疲弊していた。
 最早生かしている意味がわからなくなっていた。
 あのとき向けられた誇りも、自身の中にあったものもう擦り切れていた。真綿で首を絞めるように少しずつ死んでいく。あの時逃がすこともせず殺してやっていればよかったのだろうか。そうすれば、こうしてじわじわと苦しませることもなかったのだろうか。
 いっそらくにしてやりたいと何度も思って、そのたびに躊躇した。誇りを向けた仲間達の存在と、忘れかけていた自我が震える手で止めた。仲間達が生きているとも限らないのに、縋るように彼らに止められた。
 下手に動けば敵の手中におさまるだけだ。
 しかし、いつまでもここにとどまっていればいずれ見つかる。
 選択の機嫌は差し迫っていた。
「主。主……」
 どうしたらいい?
 どうしたらあんたは苦しくない?
 どうしたら、あんたはまた笑ってくれる?
「……………」
 越えの無い声が、唇で紡がれる。
 変わることのない「声」が、胸の裡を鋭く刺した。
 言ってくれ。たった一度でいい。声に出せずともいい。
 もういい、楽にしてくれと。

     
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