「青峰くん」
そっと肩に軽やかな重みが乗った。
「大丈夫ですか?」
「……」
声に甘えるように、そこにあるであろう脚に腕を絡めた。ちいせーし、かってー。
「青峰くん」
徐々に心が落ち着いていくような感じがした。バスケ以外ではあわねーのに、こういう時はコイツに限る。
「まったく。今だけですよ」
知ってる。
もう何十回も聞いた。だからおまえのところに来るんだ。いつも。
「もう赤司くんがヤキモチやいてくれなくなったじゃないですか、どうしてくれるんですか」
本当になぁ。なんでおまえなんだろうなぁ。おまえだったら良かったのになぁ。
何十回も重ねた問いとその答えはきっといつも同じ。だからこそわからない。
「ああ、ほら。来たみたいですよ」
おむかえ。こんな時だけことさら柔らかい声が言う。
俺の手を離れて失われゆく温もり。
「青峰っち」
ああ、なんで。ほんと。もう。
「黄瀬」
飛び込んできた熱に甘んじる。
えぐえぐぐすぐす泣いてうるせーし濡れるしきたねーし。
「勘弁してください」
そう言って、相棒は隣の部屋へと消えた。
「また、行った」
「……」
「いっつもいっつも!」
「……」
「バカ!青峰っちのバカ!」
「……」
バカだのアホだの散々こきおろして、うるさい口は寝息を立てる。
一番可愛い頭を撫でてやりながら、ほうと息を吐く。
一番可愛い。こいつの前では憧れでいたい。カッコつけていたい。
仮令、悲しもうとも、おまえの前でだけは泣きたくない。
弱いところなんて見せてたまるか。
本当に面倒な恋をした。いっそアイツだったならと数え切れないほど思った。
それでも、そこにあるのは揺るぎない親愛で。一番大事にしたい愛情はこいつにしか持てなかった。
おまえにこの胸の中を見せることができたなら、俺はどうなってしまうのだろう。
恐怖と期待が拮抗して、未だに勝負はつかないでいる。
眠るおまえの頭を撫でるては緩やかに止まらない。




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