12
 一分一秒が長かった。
 ポケットから取り出したゴムを噛み切り、興奮状態のペニスに着ける。
 ルフレは目を逸らすことが出来ず、真っ赤になりながら見詰めた。
「そんな見るなよ」
「ご、ごめんなさい」
「謝るな」
「ご、あ……」
 プッ、と蘭丸が噴出した。
 ルフレは噴火しそうなほど、いっそ可哀想なくらいに真っ赤になった。
 まだ赤くなれるのか、と感心すらして蘭丸は目を瞠る。視線から逃れるように目を逸らす所作すら愛らしく映った。
「ルフレ」
 はい。
 掠れそうな声が応じた。
 可愛い。
 物心ついた時からランちゃんと呼んでは後ろをついて回って、直向きな想いを向けられて揺らがないはずがない。
 幼女から少女へ。一人の女性へ。
 子供のような可愛らしい恋心から、女の恋へ。
 仲間の娘はいつしか女へと変わった。自分の娘のような、姪っ子のような感じだったのに。
「挿れるぞ」
「はい」
 全く時が経つのはなんと恐ろしいものか。
 けれど、蘭丸はそれを待っていたのだ。今更否定しない。
「う、ふっ……」
「息、吐け」
「ん、ん」
 ふるふる、と弱々しく首を振る。受け入れるだけで精一杯。
 無理と示しながらも、健気に耐える姿に愛しさが増した。
「口」
 指を唇に乗せると、小さく開ける。指を突っ込んだ。
「んっ!」
「噛みたくなきゃ、息吐いとけよ」
「ふぁ、ちゃ、あっ。あっ!」
 一瞬怯んだのを見計らって、一息にペニスを突き立てる。ぎゅうぎゅうに締め付けて痛いくらいだった中が、少し緩む。息を吐けるようになったことで、余分な力が抜けていた。
「ん、っあ、あ!」
 可愛らしい声も聞けるようになった。
 一石二鳥か。蘭丸はほくそ笑んだ。
「もう少しだ。頑張れよ」
「んんっ?」
 大きく目が瞠られる。
 恐る恐ると、繋がっている部分に目線を向ける。次いで、もうこれ以上はないと思うほど大きく開かれていた双眸が、愕然開かれた。
「んんっ、んんん!」
「どうした、ルフレ」
 ルフレは身を捩り、抵抗を示した。自分よりも一回り以上小さいルフレの抵抗に、蘭丸はぎょっとした。
 手酷く扱ってしまっただろうか。痛い思いをさせてしまっただろうか。
 案じる蘭丸をよそに、ルフレは胸板を押し、逃げようとするので両腕を拘束する。
「ルフレ」
「らん、ちゃ」
「どうした。ルフレ。大丈夫だ。な?」
「うぇえ、らんちゃっ」
 身体を起こし、頭を撫でてやる。挿入した部分は中途半端できつかったが、気合いで耐えた。
 ルフレは蘭丸の胸でひんひん泣く。頭を撫でて、キスをしてやると落ち着きを見せるがどうにも解せない。
 暫くそうしていると、漸くルフレは泣き止んだ。
「ルフレ、どうした?」
 努めて冷静に、怖がらせないように。思ったよりも優しい声になった。
 ルフレは顔を上げ、真っ赤になった目で見上げる。そんな顔も可愛い。涙を拭ってやるふりをして肌に触れる。そうでもしなければ暴走するところだった。
「らんちゃ、おっきいから、も、むりぃい」
「は?」
 だが、その口から紡がれたのは、想像だにしなかったものだった。
 耳を疑っていると、またルフレは泣き出す。
「だからっ、らんちゃんの、おっきいから、も、これ以上したらダメ……っ」
 目に涙を集め、訴えるルフレ。
 しかし、蘭丸は意識が飛びかけていた。必死で繋ぎ、頭の中で反駁する。
 大きいから、ダメ? 無理?
「きゃっ」
 なんだそれは。
「ら、らん、ちゃっ」
 なんなんだ、それは。
「ルフレ」
「らんちゃっ」
「無理」
 言うか否か。蘭丸はルフレの中に入る途中だったペニスを一息に突いた。
「ぁあああああ!」
 か細い喉から悲鳴があがる。
 髪を振り乱し、息も止まっていた。
「な、で……」
 弱々しく紡がれた言葉に、蘭丸は目を眇めた。何故?
「可愛く煽っといて、何言ってんだ」
「あおって、な……」
「バーカ。動くぞ」
「ひ、ぃっ」
 段々馴染んできた中が、懸命に蘭丸の形になろうとしているのが分かる。まだきつくてぎゅうぎゅうに締め付けながらも、それでも受け入れて、濡れていく。
「ここも、可愛いな」
「ああっ」
 蜜を垂らし、悦びを見出そうとする小ぶりの粒に触れると、ルフレは背中を仰け反らせて喘いだ。目の前に育った胸が曝け出され、顔を埋めた。狭間に舌を這わすと、ひいひい言って泣き喚く。
 まるで全身が性感帯のようだ。どこもかしこも愛されたいと言って蘭丸に差し出されているようで、隅から隅まであいしてやりたくてたまらない。
「らんちゃ、もう、もうっ」
「早ぇな。もうちょっと我慢しろ」
「むりぃ、むりっ」
「ダメだ」
 狭間に噛み付く。胸の空いた服ならば一発でそれと分かる痕跡に満足している自分がいて、それも満更ではなかった。
「ルフレ?」
「あ……あ……」
「おい、今のでイったのか? 俺はまだだぞ」
 仕方ない。
 優しくするつもりだったが、少し意識を飛ばしているのなら。
 蘭丸はルフレを寝かしてやる。足を肩に乗せた。そして、突く。
「あぁあああ!」
「気失うなよ?」
 それを皮切りにして、先程とはくらべものにならない攻め立てがルフレを襲った。
 上から突き上げられるような感覚と、容赦のない貪り尽くすような快感。まるで痛みにも似ていた。
「あああっ、らんちゃ、らんちゃん!」
「ルフレ……ッ」
「あ、ぁ……っ、やぁああああっ」
「っぐ……」
 急激な、それでいて食いちぎるような絞めつけに、蘭丸は達した。
「っ、……っ、」
 声もなく、絞めつけ続ける中に数度打ち付け、一滴残らず出す。
 頭が真っ白になる解放感の後、蘭丸は意識を飛ばした。
     
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