えがお
その人は、たくさんの人を殺しました。人を殺すことがお仕事です。
ある日、いつもの通り颯爽と人を殺したその人はわたしを殺そうとしてやめました。部屋の片隅で怯えているわたしを抱えて殺された人たちを置いて行きました。
朝も、昼も、夜も。その人は数え切れないくらい人を殺しました。
わたしを片腕に、返り血をびしゃびしゃ浴びて、いつかとおなじように颯爽とざっくざっく殺していきます。
ある日、その人は殺されました。朝も昼も夜も、ずっと人を殺し続けた人が誰かの手であっさりと。
そうして言います。
「安心して!もう大丈夫だよ。怖かったね」
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