しっ。長い指が、唇に重なる。「こいつ…」わざわざ呼びに来てやったというのに、居眠りに興じているとは許せん。蹴り起こしてやろう。が、それは膝を枕がわりにされている人に制止された。「ダメですよ」「ごめん、あとちょっとだけ」「…」どうせ譲るつもりはないんだろう。こいつに似合いの強情な男

のことだ。優しい手つきで髪を梳き、それでもまだ起きないバカはむにゃむにゃと大腿部に頬を押し付けた。ヤロウ、図太くなったな。「アンタのワガママにはほとほと手を焼きますね」「ありがとう」「ちょっと経ちましたよ」「うん」「…」恋人を枕がわりだなんて以前のこいつでは考えられなかっただろう

羨ましげに指くわえて見ているのがいいところ。だが、心地好さそうに午睡を貪っているのは成長が垣間見れる。だが、「オラァッ!ボケゴルァアッ起きろこの一般ド庶民が!」「うおっ!」それとこれとは別だ。黒い視線に見て見ぬ振りをして、襟首を掴みひきずる。「ま、たまには貸してやりますよ」

たまにはな。背中にくつくつと笑う気配を感じながら、図書室を後にした。

はちみつより。そういえばこの二人、作中で喋ってなくね?と思って。
     
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