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黒豹
特別クリスマス番外編
〜白の恐怖〜
雪が降るクリスマス。
人はそれをホワイトクリスマスと呼び、珍しいと喜び手を叩く。
恋人達は外に出て、その珍しい光景を二人で拝もうと思い出作りに勤しむ。
そんな中、彼女はベッドの中で未だ丸まっていた。
それにあわせて隣で眠っていた彼も丸くなる。
しかし次の瞬間には、彼女の体にかかっていた布団を剥いだ。
「ん、う…」
「おはよう」
「何…」
「寒い」
「だから?」
「もうちょっとこっち来い」
「ん、」
丸まりながらも彼女は彼に近付く。
近付いた彼女の体に四肢を絡めた。
重さに顔を顰めるも、温かみに口端を緩める。
「今日はずっとこうしていよう」
「ん、でも…」
「いいから」
少女だった体は幼さが残るものの女性のものだ。
「でも、」
「大丈夫。誰かが来るだろ。彼奴らに頼んだから」
「…バカ野郎」
余計な心配だとでも言うように、彼は彼女の体を強く抱き締めた。
その体は、恐怖で震えていたがもうじきおさまるだろう。
彼女は雪が怖いが、自分が恐怖をなくしてやるのだと。
彼はそっと心に誓った。
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