その4
もしも左杏がママ、右杏がパパ、和泉がお兄ちゃん、光愛が弟だったら



 バシャバシャバシャ、キュッキュッ、キリッ。

「うん、どっからどう見ても、男のなかの漢だ!」

 鏡を覗き、楔ちゃんは決めます。

 これも毎日の日課です。

 他人から見たら、何やってんだコイツ、です。

「何処が?」

 しかしそんな楔ちゃんに、バッサリと切った強者が居ました。

 楔ちゃんの二つ下の弟、光愛ちゃんです。

 こちらはあの口悪ツンデレ平凡と違って、楔ちゃんにそっくりです。

「光愛、起きたの?おはよ」

「はよ。つか、終わったんなら退いて。それとも列でも作らせる気?」

「ご、ごめん」

 何ということでしょう。

 この家にはツンデレな息子しかいないんでしょうか。

 中身は和泉ちゃんそっくりです。

 ふきふきふき。

 楔ちゃんは毎日のことなので気にも留めず、顔を拭きます。

 が、流石ツンデレの弟。

 楔ちゃんのタオルを奪い、

「遅い」

 と、言い放ちます。

 何という理不尽。

「ごめん…(しょぼーん)」

 ああ、しょんぼりしないでっ。

「今日も先輩が迎えに来るわけ?」

「うん。真央先輩も来るの?」

「まあね…」

 二人には何時もお迎えがいます。

 登下校を一緒に過ごす、そりゃもう、美形が。

 あのツンデレにも、勿体無いお迎えがいます。

 ホント、何であの平凡にいるんでしょう。

「早く準備しないと、真央先輩来るよ」

「分かってる。帝王輝先輩も来ちゃうでしょっ」

「うん。行こう」

「う、うん…っ」

 光愛は頬を赤らめます。

 こっちのツンデレはちょっと素直なんだよっていう話。


 チャンチャン。(殴←)

     
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