その3
もしも左杏がママで、右杏がパパで、和泉がお兄ちゃんだったら



 ひしっと抱擁し合う二人を見て、今起きたらしい寝起き最悪の平凡が、

「うぜえな」

 呟きました。

 怖いです。

 感動の場面だと言うのに、ああ、なんという人非人。

 彼は楔ちゃんのお兄ちゃん、和泉お兄ちゃんです。

 高校生の楔より、イレギュラーで四つ年上です。

 左杏ママ、右杏パパ、楔に囲まれると、平凡ここに極まれりです。

「和泉起きたー?」

 流石右杏パパです。

 息子の怖ろしさをものともしません、流石チャラ男。

「起きたからここいんだろーが」

 しかしグレグレの和泉ちゃんは不良なのです。

 パパの優しさをものともしません。

 何という不良息子、とてもではありませんがこの家族の子とは思えません。

 ですが、この家族の一員なのです。

「お兄ちゃん、おはよー」

「うっせえ、ボケが。朝からピーピー泣いてんじゃねえぞ、ボケカスが。テメエ男女か」

 まあ、酷い。

 天使の笑顔を向ける楔ちゃんに、グレネコは暴言を吐きました。

 お宅の息子、どういう教育をなさってるんですかね?

「男女じゃないっ。男の中の漢だ!」

「ハッ、鏡見てから言えや、クソガキ。腹が割れたら認めてやるよ」

「むきーぃっ。お兄ちゃんのバカッ」

 楔ちゃんはてててっと、顔を洗いに行きます。

 その後ろ姿を見送ってから、

「だから男女だって言ってるんだろうが、ボケ」

 更に暴言を吐きました。

「ほんっと、素直じゃないよね」

「まあねー。なんで曲者揃いなんだろうね、うちって」

 一番の曲者はアンタだよ。

 ようするに、和泉ちゃんはツンデレって話。

 チャンチャン。(強制終了←)


     
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