俺様な彼氏は………
 俺の名前は、藤原飛雪。
 素晴らしすぎる一般ピープルだ。敢えて言うならば、類い希なる才能が抑えきれず溢れ出て、麗しい容貌に卒倒する者が後を絶たないくらいだ。
 そんな平凡な俺には彼氏がいる。彼女ではなく彼氏。ここ重要。
 相手は喫茶店経営のオカマ。身も心も乙女に捧げた正真正銘れっきとしたオカマ。
 だが、奴はただのオカマじゃなかった。
「飛雪」
「ん、………む、く………っ」
「ハッ、かわい」
 奴は、セックスになると途端に変貌する。
 オカマは化けの皮ではない。本気で心の底からオカマなのだ。
 但し、セックスになると一変するだけで。
「もっとくわえろ………っ、そう。かわい」
 かく言う俺も、セックスの真っ只中なのだが。と言うか、ぶっちゃけフェラ真っ只中なのだが。奴のグロテスクでビンビンな一物を、口いっぱいに頬張ったりなんかしているわけなのだが。
 頭を奴の股間に押し付けられているが、それが無くたって放さない。フェラは結構好きなので、頑張ってしまう。と言うか、セックスは普通に好きだ。
「くっ、あ………っ」
「ん、んん………っ、んんンッ!!」
「………あー。ホント可愛いな」
「そう言うアンタはキモい」
 何処の世界に恋人の口の中にザーメンぶっ放して、可愛いとかいう奴がいるんだ。しかも間抜けに口開けてる姿なのに。
 くわえ込んでいる姿は分かる。あれは、自分のことが好きなんだなーって感じて可愛く思える。俺も奴にされるのは好きだ。
 だが、口の中のザーメンに可愛いとは思えない。ぶっちゃけ汚い。それも俺の精液だからとっとと吐き出して欲しい。
 口の中がイガイガしてネバネバする。ギトギトもするかも。
 口の中に含まれたザーメンで暫く遊んでみる。
「……………」
「何その顔。チョーかわい。ザーメンでうっとりって」
 やべ。何か、チョーイイ。何がって、良く分かんないけど。兎に角イイ。
「飛雪、こっち見ろ」
「んあ?」
 パシャ、と音がした。
「何撮ってんの」
「飛雪の可愛い顔」
 チロリーン、と違う音。
「それは?」
「ムービー」
「………アンタ変態にも程があるよ」
 何処がいいんだ、何処が。ザーメンで遊ぶ顔の何処が。
 その前に、携帯何処から出したカマ野郎。何か。それはあれか。またあれなのか。また「飛雪メモリアル」とやらに移されるのか。知らないとでも思ってんのか、パソコンの俺特集。………いや、コイツなら知っていても関係なさそうだ。
「さて、マットやるか」
 やっぱりやるのか。フェラが長かったから止めたのかと思った。
 別にやったことがないわけではない。寧ろ、この変態は嬉々としてやる。
 ただ、あれ、嫌なんだよなぁ……………カピカピするから。
「飛雪風呂入っとけ。冷えるぞ」
「うん」
 有り難く気遣いにのって、風呂の中に入る。
 と言っても、勿論マット用の設備が万全に整っているのでのびのびと入れるわけじゃない。奴は、準備しながら食事前の俺をマジマジ眺めて味わうのだ。マジヤベエ、この変態。
 ボトルを振ると勢い良くローションが飛び出した。タイルに透明なぬるぬるが広がる様は、背徳的であるが透明感溢れてて全く逆にも見えた。
 その間にも奴は椅子だの何だの用意して、準備万端。
 ホントもう………変態は滅亡しないもんだな。
「来い、飛雪」
 椅子に座って、片腕だけを差し出される。
 これが指すところは………まあ、あれだ。よくAVとかで見る、あれ。
 コイツは実際に言ったことがなく、その知識だけはある。ビデオから無駄に仕入れた変態知識だけが。
 今奴が俺に要求していることは、ただ一つ。
 俺は浴槽からあがり、そろりそろりと滑らないようにタオルの上を歩く。いや、頭打ったりしたら洒落になんないから。一回それでセックス中止になったから。病院では羞恥心と戦い、ここでは勃起と戦ったから。もうあんなのな嫌だ。二度と、嫌だ。
 奴の腕に跨る。男らしい筋肉が現れており、処理されていない毛は完全に乙女に心を捧げていないことを示しているようだった。
 俺を抱きたい、と叫びが聞こえた。
「ハッ、突っ込んでもないのにイくなよ」
「………相変わらず減らず口が絶えねえのな」
「ぬかせ」
「そんなこと言って最後にはよがり狂って、チンコ抜かないでって泣くのは何処の何奴だ」
「お、れ」
 だってコイツのチンコ好き。コイツが好きだから、チンコが入っている箇所が熱くなって抜くのを拒む。
 もう一生ハメられたままでいい。
「ん、ン、ンッ」
「テメエでイきそうになってんじゃねえか」
「くっ、………ァッ!!アッ、んンッ」
 パシンッ、パシンッ、パシンッ、とスパンキング。プラス言葉責め。
 腰を前後してチンコビンビンになった俺のケツは、叩かれて真っ赤。しかも思い切り叩くもんだから手形がついているに違いない。
 ああ、ゾクゾクする。最高。
「覚悟しろよ」
 俺様な彼氏は、(時々)変態淫乱でした。





(お前そろそろ人のこと言えないって気付けよ)

(アッ、チンコォッ。クッ、あ、ひひ………っ。さ、いこっ)

(……………このチンコ狂いがっ)

(くぅアッ!!………ん、あ、へっ……………)


     
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