3/14〜
「ねえ、美味しい?」
「ふ、ふん!
私のよりかはまあまあねっ」
それが彼女なりの精一杯と知っている。
素直になれない所が可愛らしいけど、
少し意地悪をしたくなった。
だって偶には彼女の本音を聞きたいし、
僕は怪しげにふふっと笑った。
良かった。
チョコにお酒入れておいて。
「ぅ〜…ヒック」
酔っ払った彼女はとても素直になる。
彼女に言ってないから知らないだろうけど。
「ね、チョコ美味しかった?
君の好きなチョコだよ」
「美味しいに決まってんじゃない。
アンタが作ったんだから、バーカバーカ」
「ふふ、有難う」
本当、素直になると可愛いんだから。
照れ隠しにバーカバーカとか言ったりして、
余計に可愛いってことを知らないんだろうか。
「ね、これ君への賄賂になるかな?」
「んあ?」
「君の一生分の賄賂」
「バーカバーカ。
そんなのなくても、一生傍に居てもらうから」
「……っ、」
今のは不意打ちだ。
狡い。
「お返し」
唇にキスをする。
真っ赤に染まった顔に僕は良い気分になる。
「君からの一生分の賄賂、貰っちゃった」
「……バーカ」
照れた君の悪口を聞くのも、
苦にならない。
偶には勝ってみたいって思うのも、
悪くないよね。
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