2/16〜
「たーのもー!!」

「ぐえっ…な、どうしたの!!?

いきなり!」

「……つーん」

理由を聞いても彼女はシカト。

そっぽを向いてしまう。

いきなり現れた上に押し倒された僕は、

何故か分からず首を傾げた。

勢いが凄かったから蛙が潰れたみたいな、

そんな声を出してしまった。

「ん」

「?

何、これ……」

差し出されたのは綺麗にラッピングされた箱。

可愛いわけでもない。

いたってシンプル。

けれど彼女らしいと言えば彼女らしい。

だけど何で?

あの餅も全て食べてしまった彼女が。

贈り物をされることはあっても、

することはない彼女が。

何でこれを?

彼女を見ると顔が真っ赤。

耳まで真っ赤。

慌てて熱でもあるのかと、

額に額を重ねて計るけど、

どうやら熱は無い。

じゃあ何で?

ビターン

「痛い……」

叩かれた。

でも彼女は涙目。

何で?

「バカ!!

この私をバカにするなんていい度胸じゃない!」

「どうしたの?

顔が真っ赤だし熱が…」

「無いわよ!」

ますます意味が分からない。

「きょ、

今日は……バレンタインでしょうが!!」

「……何それ」

「本気?」

だって、知らないもん。

その…ばぁれたん?


     
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