全宗法功女王
「那珂公!那珂公…ッ」
「公主媽媽!」



 愛してると言えば、愛になるのか。答えは、否。
 彼女は愛を信じていないし、どうでもよかった。愛なんて人生では何の役にも立たないし、権力の前では力を持たない。それを身を持って知らされたから、彼女は愛などとうの昔に捨てた。
「殿下」
 自分を気持ちが悪い声で呼ぶ、側室の一人。その声に身を震わせ総毛立ち、体中を這いずり回る舌を無表情で受け止めた。
「殿下。お慕いしております」
 その目が、何を望んでいるか知っていた。その唇から吐かれる言葉は一つも信用ならないことを知っていた。その手が何を握っているか知っていた。
「殿下、殿下」
 乳房を荒々しく鷲掴み、その先の粒を犬のように下品に卑しく舐めた。先程から消えない鳥肌に気付きもせず、下卑た笑みを隠そうともしなかった。
 腸が煮えくり返る程の腹立たしさも、この世の終わりのような悲しみも捨ててしまった。感情を一つも持たず、しかし人形でもなく彼女はただ王であろうとしていた。父が望み、母が泣きついた王位に着いていた。側室は王権を強化するために必要だと言われたから、十人手始めに迎えた。それぞれ家柄に相応しい身分に着け、子供は誰の子供か分かるように徹底した。
 子供に対し、愛情はあった。腹を痛めた子だ。が、そこまでだ。愛情はあっても、愛した人の子ではないから愛せなかった。
 嬌声も上げず、鮪のように愛撫を受けるだけで身じろぎしなかった。それは何時ものことだったが、毎度のことながらとうとうじれて秘部を解しもせず、無理矢理に貫いた。痛みを感じだが、痛くなかった。体は確かに痛いと訴えるが、心はずっと痛みで叫んでいて、もうそれを痛いと思えなかった。
 暫し律動を繰り返していたが、やがて勝手に中で果てた。こちらのことなどお構い無しに、疲れ知らずなのかまたもや動き始めた相手を止めようともしなかった。緩急をつけてみたり、強めたり弱めたり、回してみたり抉るかの如く打ちつけてみたり。試すかのように様々な動きをして、二回目もまた中で果てた。
 流石に疲れたのか、胸の狭間に顔を薄めて荒い鼻息を吐く。その間、一切身動き一つしなかった彼女に構えと訴えるかのように舌をこれ見よがしにチロチロと出して見せた。蜷局を巻く蛇を想像し、気持ち悪くなった。
 それも結局は飽きたのか、中を蠢いていたものをずるりと抜いて、今だ粘着質の強い白濁を彼女の手で拭う。そして彼女の両膝を抱え、茂みをジロジロと舐め見た。興奮したのか、鼻息を荒げて勢い良く茂みにかぶりつき、強く噛んだかと思えば舐めてを繰り返す。
「殿下、美味に御座います……殿下、殿下…」
 舌は秘部に入り込み、先程己が欲を放ったことも気にせずねじ込み、音を立てて掻き回した。それでも彼女は眉一つ動かさず、寧ろそれが嫌悪を表しているように窺える。
「私の物はどうですか」
 彼女は答えなかった。
 それを予想していたのか、再び抜いていた舌をねじ込み、今度は指も突っ込んだ。指と舌で水音を立てたかと思えば舌を抜き、指で膣をくぱっと開いてまじまじと中を観察した。まるで、目に焼き付けんと言わんばかりだった。
「ああ、お美しい…。殿下は、誰よりも美しい」
 うっとりと、しかしそれはそう言っている自分に心酔しているようにしか聞こえなかった。たが、美しいと言われたことで、昔のことを思い出して不愉快になった。
 一人だけ。慕った人は、美しいとも愛しているとも言わず。触れていいかと不安そうに尋ね、有難うと微笑み、大丈夫かと心配し、それでもすまないとは言わず嬉しいと喜んでくれた。その人の子供だけは、愛していた。けれど、愛情を注いでやることは出来なかった。
「殿下。殿下に陵辱の限りを尽くしているのは、私です。私なのです、殿下」
 こんな自己顕示も、愛していれば吐き気すら起こらなかっただろうか。愛故の切ないものだと、嘆いてやれただろうか。彼女には分からず、だからこそ感情は面に出ることはない。
「殿下、私の子をお産み下さい。私の子を、私と殿下の子を」
 毎回相手は変えていた。一ヶ月相手をすれば三ヶ月相手を誰もせず、その間は政務に取り憑かれたかのように打ち込んだ。
 正室の子供は二人いた。その内の一人は実質他人との子だったが、王室の権威が地に落ちてしまうために公表しなかった。結果、王室は守られ損なわれることはなかったが、それでも何かを忘れてきたような気がしてならない。
 それが思い出せずにいる。
「殿下、殿下」
 今だ勝手に動く相手に、思考は戻される。疲れが取れたのか、再び秘部に指以外の物をねじ込んだ。そして、胸の狭間に顔を埋めて荒々しく乳房に吸い付いた。両手とも乳房を両方とも掴み、品位に欠けた行為に彼女は内心呆れていた。
「殿下」
 相手は乳房から手を離し、彼女の両足を大きく開いて胸に噛み付いた。
     
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