01/13〜
 カリカリカリ。

(なんだかなー)



 俺の生徒笠間はバカだ。が、ここ最近同じく俺の生徒辛島に勉強を教えられ、見違える程成長した。
 それでもバカはバカ。喋り方はバカそのもの。
 しかし。
「ふあぁー」
 まあ、テスト前に、しかも再試験の前に飛び出すなんて。想像だにしてなかった。
『キムタ、ちょっと、一時間ちょーだい!』
 先生と呼べと言っているのに、やっぱりあだ名で呼んで走って行く後ろ姿に若さを感じた。
『キムタ、ただいま!』
 あんなに大慌てで出て行ったのに、大きく手を挙げて、しかも反対の手は先生をさせていた辛島の手を握って帰ってきた。繋がれた手の先では、辛島が苦笑していて、原因はコイツかと笠間を見てしまった。
『ちゃんとテスト受けるよ!』
 言葉通り、しっかりテストも受けて。
 結果、
「まさか、全教科九十点代とは…」
 実は、かなり頭いいんじゃないかと思ったのは、当然かもしれない。
「辛島すげえな!」
 返却されたテストを持って、クラスメートがいる中、一直線に辛島の元へ走った笠間が言ったのはまさかの辛島への褒め言葉。
「お前だからだよ」
 と、頭を撫でた辛島から笠間への褒め言葉は、一歩間違えれば愛情表現と取られかねないと思ったのは、きっと俺だけじゃないと思う。
(と、言うか……あれって…)
 明らかに愛しちゃってますな目じゃねえの?と思ったが、気のせいだと思うことにした。
     
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