互いに、必要以上の干渉をしたことはない。と言うよりも寧ろ、距離を取っていたという方が正しいだろう。顔を見合わせればほぼ確実に喧嘩が始まるのだから、距離を置くのが互いの為にも、また周りの為にもなる。自分に迷惑がかからないのであれば、相手がどこで何をしていようと構わない。好きにすればいい。何も同室だからと言って仲良くする義理などないのだから。

ずっと、そう思っていたはずだった。

「………っ、」

唐突に室内に流れ込んできたひやりとした空気に身震いし、目を覚ました真斗は、重い瞼を数回瞬かせて目を擦る。現在の時刻は深夜二時過ぎ。そして自分がいるのは、窓もカーテンも閉め切っている真っ暗な部屋だ。それなのになぜ、冷気を感じたのだろうか。原因を探ろうと上半身を起こそうとして、しかしすぐに動きを止めた。

――声が聞こえる。
必死に押し殺そうとして、しかしどうしようもなく溢れてしまったような、詰まった声。それは音と形容した方が相応しいのかもしれない。

(……神宮寺?)

夜遊びの激しい同室者の姿が頭に浮かぶ。盗み見をすることに若干の罪悪感に苛まれつつも、寝返りを打つふりをして声のする方へ体ごと視線を向けた。そして薄っすらと目を開けると、案の定そこには想像した通りの男がいて、彼は真斗の身じろぐ気配を感じ取ったのか、びくりと肩を震わせてこちらを見ていた。しかしそれをただの寝返りと判断すると、安堵したように壁に背を預けてずるずると座り込む。

(随分濡れている……雨でも降ってるんだろうか)
(いや、その割に外は静かだ……)

次から次へと髪から滴る水滴もそのままに、レンはどこか一点を虚ろな瞳で見つめている。その目尻からは、はらはらと何かが零れ落ちていた。真斗はあまりの驚きにうっかり声が出そうになり、慌てて唇を噛み締める。

(……泣いている……神宮寺が……?)

普段はおちゃらけていて、女性にだらしなくて、事あるごとに自分に突っかかってくる、そんな強気で自信過剰なあの男が。見間違いだろうか。或いはもし雨が降っているのなら、止め処なく伝うそれは涙ではなく雨なのかもしれない。けれどどんなに耳を澄ましても、雨音は聞こえてこなかった。耳に入ってくるのは、やはりレンの押し殺したような声だけ。

「ひじり、かわ………」

そして、ぽつりと呟かれたのは自分の名前。

ああ、もしかしたらこれは夢なのかもしれない、と思った。真斗を毛嫌いしているはずのレンが、こんなにも寂しそうにその名を口にする筈がないのだ。夢ならば、泣いているのも、真斗の名を呼ぶのも、なんら不思議なことではない(どうしてこんな夢を見るのかは自身に問いただしたいが)。むしろそれらはきっと、夢でなければ起こりえないことだ。

真斗は、いつも距離を置いている男の弱っている姿を無様だと笑えるような冷酷な人間ではなかったし、またレンのことを忌み嫌っているというわけでもなかった。第三者から見たら嫌っているように見えるかもしれないが、実際は彼と喧嘩をしていても心底腹が立つことはなく、そのやりとりを多少楽しんでいる時さえ少なくはない。

だから。

「……どうした、神宮寺」

夢ならば、少しくらい彼に歩み寄ったって、罰は当たらない。そう思った。

「……っ!?お前、起きて……!」

彼に呼びかけた途端、レンははっと意識を取り戻し、弾かれたように真斗を見る。そして確かに真斗の目が開いているのを認識すると、片腕で乱暴に目元を拭い勢いよく背を向けた。そんなに雑に擦ったら目も肌も赤くなってしまうだろうに、レンはそんなことよりも涙を見られることのほうが余程嫌らしい。

よくできた夢だ。きっと現実でも彼はこうやって、他人の目があるところでは泣かない。強がってなんでもない風に装って、弱音ひとつ吐かずに自分一人で解決しようとするのだろう。誰かに頼っても、それを咎めることなんて誰もしないのに。レンはどうにも自分を卑下する傾向にある。

「今さっき目が覚めた。それよりも髪を拭け、神宮寺。そのままでは風邪をひく」
「……言いたいのはそこなのか?目が覚めたの、オレのせいだろ?」
「明日は休日だ。深夜に目が覚めて困ることはない。それよりも貴様が風邪をひいてうつされる方が迷惑だ」
「……ああ、そう」

レンは何か言いたそうな顔をしていたが、それを言葉にすることはなく、ただ不満そうな顔をして髪を拭き始めた。

沈黙の走る室内で、がしがしと髪からタオルで水滴を飛ばす音だけがやたらと響く。気まずそうな表情をしたレンが真斗をちらりと見やり、しかし目が合う度にすぐに逸らすことを繰り返す。その様子は随分と彼らしくない。いつもの堂々としすぎているくらいの態度は、今のレンからは微塵も窺えなかった。

「ところで、神宮寺」
「……何だよ」
「さっき俺の名前を呼んでいただろう」

真斗がそう告げると、レンは目を見開いたままぴたりと動きを停止してそのまま固まってしまった。このことは口にするべきではなかったか。真斗は一瞬後悔したが、どうせこれは夢なのだから、と気を取り直して言葉を続ける。

「こんなことを言うとお前は怒るかもしれないが……。俺はお前が単に女好きという理由だけで毎晩夜遊びをしているわけではないと思っている。たまに俺がこうして深夜に目が覚めたとき、お前はいつも起きているし、珍しく寝ているかと思えば魘されている。……そういう時は、今みたいに俺を呼んで、起こしてくれて構わないのだぞ」

どうして夢の中のことにこんなに熱くなって、こんなことを言っているのか、それは真斗自身にもよくわからなかった。ただ、同室者の自分さえ知らずレンが泣いていて、しかもそれを隠そうとしていることが、酷く嫌だと。こんなにも近くにいるのに、何も知らずにいる自分が許せないと、そんな風に思った。

レンは必要以上に他人に近づかれることを嫌う。わざと自分から他人を遠ざけようとする。本人の口から直接聞いたことはないが、そんなことはレンを見ていればすぐにわかる。だから真斗は、彼に対して今までずっと干渉してこなかったし、これからもしないつもりでいた。

それなのにどうして、なんて、きっと誰にもわからない。

「……なに、慰めてくれんの?聖川」

レンは真斗を嘲笑うようにそう言った。その目は何かを恐れているようだった。からかうような言葉とは裏腹に、瞳が揺らいで、微かにだが手が震えている。怖いのだ。他人に自分の弱さを見せることが。そしてその弱さにつけいれられることが。

真斗はレンの抱えているものを知らないし、レンもまた真斗の抱えているものを知らない。それでも、自分達は似たような立場にいる。家のことでいつまでも精神的に苦しめられているのは、昔から同じはずだ。気持ちをわかってあげられる、なんて厚かましいことは思っていないけれど。

レンの言葉に返事をしないままベッドから起き上がった真斗は、レンの元へと歩み寄る。全く予想していなかったのだろう行動に驚いて逃げようとするレンの隣に、黙って腰を下ろした。真斗はレンを見ることなく、ただ真っ直ぐに前を見つめながら口を開く。

「話したくないなら何も言わなくて良い。お前が眠れるまではこうしていてやる」
「……馬鹿、じゃないのか、聖川。こんなことしたって、オレは感謝なんかしないよ」
「貴様に感謝なんてされたところで一体何の得があるんだ?余計なことは考えるな」
「だったら、お前だってオレにこんな……こんなことする理由が、ないだろ?」
「ああ。別に理由などない。ただ俺がこうしていたいだけだ」

その言葉は本当だ。理由なんてわからない。こんなにもレンを愛しく、守りたいと思う理由なんて。わからないのだったら、無理に追求する必要なんてどこにもない。ただ自分がしたいようにしたらいい。見返りを求めるでもなく、弱みを握るつもりでもなく。単にこれ以上、苦しんでほしくないだけだ。

せめて今、夢の中でだけは、自分がレンを少しでも救ってやれたら、と。

「……何か企んでるのか?それとも、オレのことを馬鹿にしてる?」
「なんだ、貴様は馬鹿にしてほしいのか?」
「ああ、笑ってくれたほうがまだマシだね。こんなの惨めじゃないか。年下で、クラスも立場もオレより下の聖川に下手な同情をされるくらいなら、馬鹿にしてくれた方がよっぽど気が楽だよ」

レンがわざと自分を怒らせるようなことを言って遠ざけようとしているのだと気が付かないほど、真斗は鈍感ではない。全身で他人を拒絶するレンの姿は酷く痛々しかった。苦しいときに、どうして更に自分を追い詰めるようなことをするのだろうか。レンが人一倍繊細であることを真斗は知っている。こんな言葉を吐いて、一人になった時に後悔をするような人間だ。

真斗はその言葉に対して何も言わず黙ったまま、レンの手にしていたタオルを奪い取った。

「何故こんなに濡れている?雨なんて降っていないだろう」
「……聖川、オレの話聞いてた?って、ちょっと、何してんの」
「髪以外もびしょ濡れではないか。馬鹿者、こんな寒い時期に」
「自分で拭ける、余計なことするな、おい、聖川っ」
「大体部屋まで濡れてしまうだろう。お前は本当に後先考えないやつだ」

レンの話を一切聞かず、真斗は奪い取ったタオルで彼の長い髪を淡々と拭いていく。々文句を言っていたレンも、あまりに自分の言葉を聞き入れない真斗に諦めたように一つ溜息をつくと、やがて大人しくなった。

どういうわけか、肌蹴た胸元も、スラックス越しにでもわかるすらりと伸びた足も、ぐっしょりと濡れている。雨ではないとすれば、服を着たまま、しかも冷水を浴びたとしか考えられなかった。真冬にそんなことをするなんて下手すれば命取りにだってなりかねないというのに、一体この男は何をしているのか。呆れとも怒りともつかない気持ちが真斗の胸にこみ上げる。

「……いくら夢だからと言って、自分の体を大事にしないことは許さない」
「……はあ?夢?……ああ、そうか、寝ぼけてるのか聖川。だから柄にも無いことするんだね。それなら都合が良い。夢の中のオレが、特別に話をしてあげるよ」

真斗の言葉を聞いた途端に気を良くしたらしいレンは、小さく笑って真斗を見た。今までに何度か見たことのある、しかしそれは普段自分にではなく女性たちに向けられている笑み。酷く寂しそうな、そして必死に誰かを求めているような、そんな笑みだ。誰もその本質には気付きはしない。表面だけの笑みを見て、黄色い声を上げるだけ。

「……一人の夜が嫌なんだ。怖い、とでも言おうか。情けないことなんて自分が一番わかってるさ。もうそんなこと言う年でもないのにな。だから、女の子達と一緒に過ごす日がほとんどだけど……」

一瞬、その先を言うべきか迷うようにレンは言葉を切って口を閉ざした。真斗は続きを促すでもなく、無理をするなと声を掛けるでもなく、ただレンのことを見る。真っ直ぐな視線に耐え切れなくなったのか、レンは俯いて、それから小さな声で話を続けた。

「たまに、壊されたいと思う時がある。滅茶苦茶にしてほしいんだ。気付いたら朝になっていてほしい。むしろ、朝なんか来なくて良いって。そういう日は、誰でも良いから抱いてくれる人を探しに行く……ちょうど、今日みたいに。気持ち悪いだろ。けど、オレはそうすることでしか、夜を乗り切れない」

レンは自分を責めるように、白くなるほど強く掌を握り締める。綺麗に整えられた爪が細長い指に食い込み、傷を作った。後悔。自責。嫌悪。拒絶。孤独。とてもひとつの単語では表しきれないものが、レンの周りで渦巻いている。

いっそ真斗が責めてくれれば楽になると、レンは思っていた。気持ちが悪いと、そんなことをするなんておかしいと言ってくれれば。自分のしていることを止めてほしいわけじゃない。哀れんでほしいわけでもない。それはただの自己満足だけれど。

他人に優しくされることよりも、冷たくされたほうがよっぽど楽だと思うようになったのは、いつからだっただろうか。優しさは素直に受け取ることができない。どうしても裏を探ろうとする癖がついてしまって以来、酷く怖くなるのだ。蔑まれることのほうが、拒絶をされることのほうが、何も疑わずにいられるのだから、随分マシだろう。

「神宮寺。どうして他人に抱かれるなどという行為を選ぶ?」

しかし真斗は、レンを咎めることも、また責めることもしなかった。ただ冷静にいつもと変わらぬ無表情でそう問われて、レンは唖然とする。そんなことを聞いてどうするのか、というよりも、お前が気にするべきなのはそこなのかと思わず聞き返しそうになった。けれど自分に問いかける真斗の目があまりにも真剣で、茶化す気にも誤魔化す気にもなれず。

「だから、言っただろ。気付いたら朝になっててほしい。今が夜だってことがわからなければ何も怖くない。その為には抱いてもらうのが一番確実なんだよ。ディナーやデートなんかじゃ……足りない。夜はすごく長い、だろ?」
「それなら俺もさっき言っただろう。不安になって眠れないときは俺を起こせと」
「……聖川、オレのこと抱きたいのか?」
「馬鹿を言うな!生憎だが俺にそのような趣味はない」
「馬鹿を言うなはこっちの台詞だよ。オレの話理解してないだろ、聖川」

毒気を抜かれたらしいレンは、呆れたように真斗を鼻で笑う。そんなことで慰めているつもりなのだろうか。あまり彼らしくない行動を嘲笑いながらも、内心少しだけ動揺していた。さして自分に関心のないであろう真斗がそんなことを言うだなんて、全く予想していなかったからだ。

しかし真斗が先程夢だなんだと言っていたことを思い出してすぐに納得する。彼はこれを夢だと思っているから、心にないことだって簡単に言えるのだ。それとももしかしたら、自分が夢を見ているのだろうか、とさえ思う。無意識の内に誰かに救ってほしいなんて甘ったれた願望が夢に出てきたのだとしたら、とんだ笑い話だ。

「だから、知らずの内に夜を乗り越えられれば良いのだろう。お前が自分の身を犠牲にしなくとも、その方法は俺が編み出してやる。今はこうして、話を聞くことしかできないが……それでも、お前を不安にはさせない。怖ければずっと隣にいてやる。だから、後悔するくらいなら、自分の体を好きでもない男に預けるのはやめることだ。貴様が好きでやっているというのであれば俺に止める資格はないが、そうではないらしいからな」
「…………」

何も、言葉が出なかった。

何を言っているんだ、こいつは、と。ただそれだけがレンの頭の中をぐるぐると回る。きっと頭が真っ白になるというのはこういうことを言うのだろう、とどこか他人事のように思った。

(聖川は、オレのこと、嫌いなはずだろ)
(こいつは嫌いなやつの世話を焼くほどお人好しだったか?)
(どうして……)

わからない。考えれば考えるほどにわからなくなる。そして怖くなった。聖川真斗という人間が。それに絆されそうになった自分が。違う、こんなのは、間違っている。いくら嫌いな人間相手とは言え、迷惑をかけていいはずがない。一人の夜が怖いなんて毎晩のことだ。もし真斗の言葉を素直に受け入れるとしたら、自分は真斗を毎晩付き合わせる羽目になる。

やめろ、信じるな。どうせ三日も持たない。そのうち愛想をつかされて、また一人に戻るだけだ。余計に苦しい思いをするだけ。

(聖川はオレを陥れようとしてる、それだけだ)
(これは優しさなんかじゃない……勘違いするな)

怖い。どうして。自分は優しくされる資格なんてない。ましてや聖川なんかに。騙されるなと言い聞かせる自分と、それを信じたいだなんて馬鹿げたことを思う自分がいる。どっちを信じればいい。俺は自分のことさえわからない。――何も。


「神宮寺!」

不意に大声で名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。いつの間にか額にかいていたらしい大量の汗を拭おうと手を伸ばす真斗の手を、振り払った。

――否。振り払おうとした、だけだった。

「………っ」

自分を心配そうに見る真斗の目が、あまりにも暖かくて。騙したり、陥れたりなんて、とても考えているようには見えなかった。あるいは自分がそう思いたかっただけなのかもしれない。ただその優しさを突き放すことができるほど、レンは愛情に満たされている人間ではなかった。他人がこんなにも自分のことだけ見てくれることなんて、どんなに切望したって今まで叶うことはなかったのに。よりにもよって大嫌いだったこの男が、それをくれる。

裏切られるかもしれない。自分は騙されているだけかもしれない。それでも。例えそれが一夜限りでも、今自分が夢の中にいるだけなのだとしても、それでもいい。この暖かさを手放したくないと、らしくもないことを願った。

「すまなかった。泣くな、神宮寺」
「……ひじり、かわ、」

真斗の白い手が、親指が、いつの間にかレンの頬に伝っていた涙を拭う。こういうことはレディにするものだと文句を言おうとしたけれど、しかしそれは少しも言葉にならなかった。喋ろうとするたびに何かがこみ上げてきて邪魔をする。涙なんて誰にだって見せたくないのに、どういうわけか、自分では制御できなくなっていた。

「お前が優しくされることを恐れる人間だと知っていたのに、酷いことをしたな。俺は嘘は言っていないが、今すぐに信じろだなんて無理なことは言わない。そっちのが楽だと言うなら、疑ったままで構わない。だからもう泣くな」

そう言って、真斗は自分より少し大きいレンの体をぎゅっと抱きしめる。女の子みたいな扱いをしないでくれと文句のひとつくらい言いたいけれど、無理に喋ろうとすれば余計に情けない姿を晒すことは目に見えている。レンは少し悔しそうに小さく唇を噛み締めて真斗の肩口に頭を埋めた。

「夢、なんだよね、これ……」
「お前が夢だと思いたいならこれは夢で、そう思いたくないのなら現実だ」
「……わけわかんないよ、聖川……」
「そうだな」

ぐしゃぐしゃと乾きかけた髪を撫でる。普段であればきっと怒っていただろうが、レンは大人しくされるがままになっている。その珍しい姿に思わず悪戯をしかけそうになったが、真斗はふと手を動かすことをやめた。

微かにだが、レンの頭が舟を漕いでいる。それに心なしか彼の瞼は重たそうだ。

(……なんだ、ちゃんと眠れるじゃないか)

レンが求めていたのは、きっと、人の温もり。それだけだ。そのことに気が付きたくなかったのか、それとも認めたくなかったのか、誰かに抱かれれば良いのだと本人が勘違いをしていただけで。実際は誰かと触れ合っていればそれだけで落ち着くことができる。怖さを和らげることができる。早速良い解決方法を見つけたと、真斗は一人微笑んだ。

ずず、とレンの頭が沈んでいき、重みを増していく。

(仕方がない。今日だけはこのままここで寝させてやろう)
(風邪をひかないように、暖めてやらなければな……)

崩れ落ちそうになるレンの体をしっかりと抱きしめ直し、真斗もまた目を閉じる。
これは夢か現か、未だにはっきりしていないけれど。


ただ、目が覚めたときに自分の隣にレンがいることを願った。



夢現(120223)

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