今日はなんと赤司くんのお友達が遊びに来るらしいです。ちゃんとお友達がいたのね、なんて安心したことは赤司くんに内緒おこう。
 赤司くんはマンションの入り口までお友達を迎えに行っていて、私はとりあえずお茶の準備をしておくことにした。

「おっじゃまっしまーすっ! すーっげぇぇぇ!! 赤司ってこんな広い家に住んでんの?! やべーーー!」 
「ちょっと! ドタドタ走るんじゃないわよ、バカ!」

 リビングのドア越しに聞こえてくる声があまりにも賑やかで、驚きのあまりティーポットにお湯を注ぐ手が止まってしまった。赤司くんの友達なら彼と同じような大人っぽい人達だと思っていたのに、それは違うらしい。
 バンッ、と荒々しくリビングのドアが開いた。何事かとキッチンからひょこりと顔を覗かせると、そこに立っていた猫みたいな目をした男の子とバッチリ目があった。

「え゛…………!!」
「あの……?」
「お、お、お、女がいるーーー!」

 その男の子は私を指さして叫んだ。クマとかライオンみたいな恐ろしい生き物を発見したような扱いにちょっぴりへこんでしまう。

「だからアンタはどうしてそううるさいわけ……って、ちょ、ちょっと征ちゃん! 征ちゃんに彼女がいたなんて聞いてないわよ! しかも同棲してるなんて! ちゃんと説明なさい!」

 私を指さした猫目の男の子の頭をスパンと叩いた男の子(オネエ言葉だけど背がすごく高いからきっと男の子だと思う)も、私の顔を見た途端、玄関で靴を脱いでいるらしい赤司くんに興奮気味に声をかけた。


******


「……紅茶です。どうぞ」

 ソファーに座る赤司くんとそのお友達の前に紅茶を並べていく。お友達2人が私のことをしげしげと眺めるもんだから、緊張して手が震えてしまった。

「アナタ、お手伝いさんだったのね。私ったら征ちゃんの彼女かと勘違いしっちゃって。騒いだりしてごめんなさいね。私は実渕玲央、征ちゃんと同じバスケ部の2年よ」
「オレは葉山小太郎!! てかさ、さっきはすっげー驚いたんだよねー。家間違えたのかと思った!」

 オネエ言葉で大人っぽい雰囲気の実渕くんと、けらけらと屈託なく笑う葉山くん。どちらも赤司くんの先輩らしい。
 なんとも濃いメンバーで、その3人が会話している様子に思わず見入ってしまう。まあ、会話といっても葉山くんの言動に実淵くんがつっこんで、その様子を赤司くんが眺めている、と表現した方が正しいかもしれない。

「私は名字名前と言います。よろしくお願いします。あ、ちなみに大学2回生です」

 紅茶を乗せていたトレーをギュッと抱きしめながらお辞儀をすると、「あら、可愛いわね」と実淵くんが柔らかく笑う。彼が年下だなんて信じられない、そんな考えと同時に顔が熱くなった。

「え、えっと! 私は部屋に下がっていますね。何か用があったら呼んでください」
「どうしてだ?」

 赤司くんがちょっぴり不機嫌そうに私に質問した。

「どうしてって、私がいたら邪魔かなぁと……」
「僕は名前にここにいて欲しい。だからいればいいだろう?」
「え……?」
「あら、いいじゃない。私、普段の征ちゃんがどんな感じなのか聞いてみたいわ」
「オレもさんせー! 赤司がいいって言ってるなら、いーじゃん! ここに座りなって!」

 赤司くんってば何を言っているんだろう。
 そんな疑問を口にする前に、葉山くんが私の手を引いて強引にソファーに座らせた。
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