「ここが洛山高校……」
なんて大きな高校だろう。校門から見る限り4階建ての建物が3棟。その奥には体育館が4つは見える。自分の通っていた高校とはあまりにも規模が違いすぎて、中を見たいという純粋な好奇心が生まれた。
「えっと、『校門前にいます』っと……」
メールを送って1分もしないうちに返信がきた。『今授業中だ。休み時間になるまであと20分待っていろ』そんなそっけない文面に小さく溜息をついた。
あれ。このメール命令口調じゃん。ついにボロが出たのかな。
赤司くんが怖い……というより、俺様気質だということはよくわかった。まさか学校でも俺様キャラでやっているのかと考えてみる。一般人が俺様キャラなんてただイライラするだけだけど、赤司くんのように顔が良くてお金もある人だったら許されるのかも。
「はぁ……。神様は不平等です……」
「何が不平等なのかな?」
「え? あ! 赤司くん」
背後から肩を叩かれて振り向くと、そこには首をかしげる赤司くんが立っていた。しかも、学校指定の体操着……。
超高級マンションに住んでいるお坊ちゃまが、決してオシャレとは言えない体操着を着ている様子に、体の奥からくつくつと笑いがこみあげてくるのを必死で我慢した。
「え、えっと! 頼まれた書類ってこれですよね?」
ホチキス止めの紙をファイルごと渡すと、受け取った赤司くんはパラパラと中身を確認した。
「ああ、これだ。わざわざ済まないね。君もちゃんとお使いができるようで安心したよ」
とても爽やかな笑顔を作っても、その言葉はとてもトゲトゲしている。ちくしょう、あの教授といい世の中鬼ばっかだ!
「私はご主人様の忠実な僕ですから! それでは失礼します!」
精一杯の皮肉で返してやったぜ! なんて思ったら「さすがポチ。帰ったらご褒美だね」とやっぱり爽やかな笑顔で返り討ちにされてしまった。
どうやら私は4つも年下の彼にさえ勝てないようです。
ご主人様とポチ