ねえ、キャプテン。
いつになったら僕を見てくれる?
いつになったら僕だけを見てくれる?
ねえ、答えてよ。
僕はこんなにも君が好きなのに。
※
晴れ渡る快晴、太陽が照りつけるグラウンドで今日もイナズマジャパンは世界一を目指して練習をする。
「ナイスチャージだ風丸!」
「いけ!豪炎寺!決めろーー!」
「すっげーシュートだなヒロト!」
キャプテンの声は今日もよく響き渡っていた。
そして、今日も君はみんなに笑顔を振りまく。眩しくて、みんなの大好きな笑顔を。僕の大好きな笑顔を――
僕は僕を救ってくれた君が好きだ。僕は君に救われた。
完璧を求める余りにバランスを崩し、心の中に封印されてた本当の僕を最終的に頼もしい手で引っ張ってくれたのはキャプテンだった。
北海道と東京、離れている中君に出会えて、共にエイリア学園と戦い、君と仲間になれて、君に救われて、君を好きになれて、日本代表としてまた君と一緒にサッカーが出来て………。
それだけでも充分に嬉しいはずなのに、その上僕だけを見てほしいなんて、ずるいかな?どう思う?キャプテン。
「吹雪…?」
「へっ?…あっ、キャプテン…」
キャプテンの事を考えていると、まさかの本人に話かけられたのでビックリしちゃった。
ちょっとカッコ悪いなあ僕、
「どうかしたのか吹雪?さっきからボーっとしてるぞ」
「えっ?本当?」
「ほんと、10分くらいかな?ボールを片足で止めたまま一歩も動いてなかったぞ」
視線も空ばかりに向いてた、とにっこり笑うキャプテン。
僕、そんなにボーっとしてたんだ。
晴れた空に浮かぶ太陽がキャプテンの笑顔みたいでさ、その太陽をずっと見てたらキャプテンの事考えてて、そしたらいつの間にかボーっとしちゃって時間がたってた。
なんて言える訳ないよね。
「あはは、ちょっと疲れちゃってるのかな、僕」
「本当か!?そしたら今すぐ休んだほうが…」
「大丈夫だよ、キャプテン」
「えっ、でも……」
「疲れてるなんて嘘だよ、ちょっと考え事してただけ。ごめんね」
キャプテンに心配させないように微笑みながら言うと、半分安心したような、半分まだ心配しているような、そんな複雑な表情を向けられてしまった。
「本当に大丈夫だから…嘘吐いちゃってごめんね」
「吹雪……、それなら良いんだけどさ、」
「うん、心配してくれてありがとうキャプテン」
「そんなの当たり前だろ!」
ニカッと笑うキャプテン。
心配かけちゃってごめんね。キャプテンの事練習も身に付かないほど考えてた、なんて言ったら君はどう思うかな、
「でもな、吹雪…」
「うん?」
「何か悩みがあるなら俺に言ってくれよ?…俺で良ければいつでも相談に乗るからな!」
「!」
「だからさ、頼ってくれよ!」
僕の好きな、眩しい笑顔で君は言った。
じゃあ、いつになったら僕の事見てくれる?
喉に出掛かった言葉を飲み込む。そんな事言っても君を困らすだけなのに、僕ってこんなにバカだったっけなあ。
「キャプテン、」
「ん?」
「…ありがとう」
「…おう!」
さっ!練習に戻るぞ!とみんなの中心に戻っていくキャプテンの背中を見送る。
「…大好きだよ、キャプテン」
だから早く、僕の事見てよね。
強くなった日差しの中、また僕は太陽を見上げた。
早く僕だけを見てください
(そしたらこんなに、)
(悩む事なんてないのにね)