最近ヒロトが可笑しいんだ。何が可笑しいって言ったらヒロトの俺に対する態度だよ。例えばさ、
「ヒロト!」
「!っ、えっえっ円堂くんっ」
「ん?どうしたヒロト、顔が赤いぞ?」
「あっ……」
「?」
名前を呼んだだけで顔を赤くして俯くし、
「ヒロト!ここ教えて!」
「うえっ!?」
「数学、分かんなくてさ……」
「ごっごめんね!吹雪くんにでも聞いてよ!」
話しかけてもすぐ逃げるし、
「ヒロトー!ちょっとキーパー練習に付き合ってくれよ!」
「つつっ、つ、つ、付き合う!?………あっ、」
「!?ヒロト!?」
挙げ句の果てにはグラウンドのど真ん中でぶっ倒れるし、とにかく可笑しいんだよ。
「それはねキャプテン、」
気になって仕方ないからヒロトの俺に対する態度について吹雪に相談してみたところ、吹雪は嫌な顔一つせず真剣に聞いてくれた。そして全て話し終えた頃、吹雪はニッコリと笑って、
「ヒロトくんはキャプテンに恋してるからだよ」
「あ、そうかそういう…………、え?」
とんでもない爆弾を投下してきた。
「えっそれって、吹雪っ、えっ?ヒロトがっ俺をっ……す、好き……?」
「うん、そういう事だね。」
いきなりの爆弾発言に混乱する俺を吹雪は何処か楽しそうに見ていた。いや、その吹雪さん、何でそんなにニコニコしてんの。何か企んでます?
それよりもアレだ。ヒロトが俺を好きだなんて。嘘だろ?ああ顔が、熱い。別に本人が言ってる訳じゃないのにさ、何かこうくすぐったいって言うか、すげー照れる。
「……キャプテンも早く気付くと良いね」
「へっ?」
何でもないよ、と笑いながら吹雪は部屋に戻ると行ってこの場を去った。吹雪が呟いた言葉が聞こえなかったが、今はそれを気にしてるどころじゃない。
「(ヒロトが、俺を)」
心臓がドキドキと止まらない。それに、その事実を嬉しいと思っている自分がいて驚いたと同時に今度は身体全体が熱くなった。ああもう何だよちくしょう!
恋のはじまり