※吹雪兄弟と幼なじみ設定
※アツヤ生きてます



はぁ、と息を吐けば白い煙が口から立ち込める。家の外で雪がチラチラと降る様子を数時間前の事を思い出しながらぼんやり見つめていると何処からか、サクサクと雪を踏みつけながらこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。

「アーツヤ」
「……何だよ」
「まーた士郎とケンカしたんだってな、士郎が言い過ぎたって言ってたぞ」
「知るかよあんなヤツ…」

ヨイショと円堂が俺の隣に腰を下ろす。円堂の言うとおり、数時間前に俺と兄貴は口喧嘩をした。最初の発端はなんだっけな。忘れるほど小さな事だったんだろう。

「士郎に謝らないのか?」
「は?何で俺が?」

何で俺が謝らないといけねーんだ、あんな野郎に。円堂は一瞬キョトンとした後アツヤは素直じゃないもんなーなんてクスクス笑いながら言った。意味分かんねー。

「たまには素直になれよなー」
「……うるせーバーカ、」

そう言って円堂の顔を見ればニコニコしながら俺を見つめる円堂と目が合った。何で笑ってんだ、気色悪い。

「何でお前笑ってんの?」
「ん?…いや、アツヤは子供だなーと思って!」

ガーン、まさにそんな感じの衝撃がした。何で俺が子供なんだ。成長期真っ只中だから身長もぐんぐん伸びてるし声変わりもしてるしちゃんと身体は大人に向かっているはず。それに比べて円堂はまだ身長は俺より低いし(て言うか俺が抜かした)声変わりもまだ完全にしてない男にしては高めの声だ。何でそんな円堂に子供だなーなんて言われなきゃいけないんだ。ムッとしてその事を円堂に伝えるとまた笑われた。

「ほら、そういう所が子供、」
「は?」
「すぐムキになるだろー?それに素直じゃないし。あと自分勝手な所とか……たまに我が儘言う所とか…構わなかったらすぐ拗ねるし、な?子供だろ?アツヤの悪い所」

あはは、と笑いながら言われた。おいちょっと待て今ので大分精神的ダメージくらったぞ。キッと睨み付けてやると茶色の瞳が穏やかな色でこちらを見ていた。でも、と薄い唇が弧を描く。

「それ以上にアツヤの良いところたくさん知ってるぜ!」
「!!!」

さっ士郎に謝りに行こう、円堂が俺の手を引いて歩き出す。何故だろうか、今なら素直に士郎に謝れそうな気がする。円堂が仲直りしたらサッカーしよう、だとよ。視界に寒さで赤くなった円堂の耳が目に入った。きっと今の俺の顔の方がずっと真っ赤だろう。

優しく握られた手をギュッと握り返した。


優しく残す冬のおはなし


(三人で仲良く、)
(サッカーしたいな)


――――――――――

決して円アツではありません!(泣)


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