「好きだよ円堂くん」
「おう!俺もヒロトの事好きだぜ!」

そういう意味の好きじゃないんだよ円堂くん。
少し困ったように笑う俺を円堂くんはキョトンとした顔で見つめる。

円堂くん、俺の好きは円堂くんが思っているようなものじゃないんだよ。
もっともっと大きいもので、友達とか親友とか男とか女とか関係なく、1人の人間として君が大好きで、愛しくて、愛しているんだ。

―――いや、大好きとか愛してるだけでは足りないかな。

「?どうしたんだー?ヒロト?」

ひょこりと俺の顔を覗き込む円堂くん。
ああ、無防備な君のその口を塞いでしまいたい。塞いで、息が出来なくなるまでむちゃくちゃに。君の酸素を奪い尽くすくらいに。

「円堂くんは隙だらけだよね」
「えっ、何だよ急に」
「無防備だと誰かに食べられちゃうよ?」

(例えば俺とかにね)

暫くポカンと俺を見ていた円堂くんだったけど次にブハッと吹き出すと変なヒロトー!とケラケラ笑い出した。

「俺なんか誰が食べるんだよーだいたい人間だぞ!人間なんて食べれないって!」

違う、違うよ。そういう意味で言ったんじゃないんだよ円堂くん。
君はどこまで純粋なんだい?
それに君を食べようとしている人は周りにたくさんいるんだよ?みんなみんな、君の事が好きな人ばっかりなんだよ?

やっぱり円堂くんは円堂くんだ。
鈍感で無防備で、人の心を簡単に奪い去って、俺を困らせる。

「円堂くん、」
「ん?」
「好きだよ」

どんなに俺が君を好きでも、どんなに君に好きだと伝えても、

「だから俺もヒロトの事好きだって!俺達、ずっと仲間だからな!」

君の好きと俺の好きはこんなに違う。

いつになれば俺の"好き"の意味を分かってくれるのだろうか。

まだまだかかりそうだなあ、なんて思いながらまたキョトンとしている円堂くんの頭を撫でた。



どうしてこうも伝わらない



(早く伝わってくれないかなぁ)
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