※幼なじみパロ
※いろいろ捏造


「ねぇ狩屋、」

昼休みの屋上って結構人いないもんなんだ。そんな事を考えながら購買で買ったパンを黙々と頬張っていると、不機嫌そうな声が横から聞こえてきた。ちらりとそちらに視線を移せば、案の定ムスッとした表情の幼なじみが目に入る。

「なぁに天馬くん」

少し甘ったるい声色で目の前の彼の名を呼べば、天馬くんの顔がますます不機嫌なものになった。昔はマサキ!なんて無邪気な笑顔で俺の後ろを引っ付き回っていたのになー。2年も経てば変わるものなんだ。名前じゃなくて苗字呼びだなんて。まあ相変わらずちょっとお馬鹿さんだったりするけど。

「……そろそろその猫被り止めなよ」

そう言うと天馬くんはお弁当の中にあった美味しそうな卵焼きを口に運んだ。額に眉を寄せ頬を膨らませながらもぐもぐ食べる天馬くんが、不機嫌なリスみたいで堪らなく可愛い。ゴミとなったパンの袋をくしゃくしゃに丸めて、ポケットに突っ込みながら天馬くんの方に向き直る。

「天馬くんの前では普通なんだから別に良いじゃん」
「それでも俺は嫌だ……今の狩屋は確かに俺の前では狩屋だよ?でもそれ以外は狩屋じゃないみたいだから嫌だ」

昔はそんなのじゃなかったのに……とますます頬を膨らませた天馬くんは、まだ食べかけのお弁当を丁寧にしまうと、はぁ、と重たい溜め息を一つ吐いた。そんな天馬くんの落ち込みに様に俺は苦笑いをするしか出来ない。

「あーあ、昔の狩屋は生意気だけど可愛かったのに……」
「な、何だよそれ……」

――俺と天馬くんは昔家が隣同士で、同い年と言うこともあってか良く遊んだりお泊まりをしたりと、仲良しな幼なじみだった。しかし2年前にお日様園に入った俺は、必然と天馬くんと離ればなれになったわけで。お別れに悲しみながらもした、また会おうね、なんて小学生らしい可愛い約束を胸に秘めながら過ごしたこの2年間。中学生になった俺は、半ば天馬くんとの再会を諦めていたのだが、そんな俺に転機が訪れた。雷門中への、転校だ。

そうして瞳子さんの計らいで雷門中に転校し、天馬くんと感動の再会を果たすことが出来たというのに。彼は2年前と違う俺の性格……つまりは今の俺が気に入らないらしい。転校してから一週間、俺の周りに対する態度が明らかに昔と違うと言うことで猫被りだなんて言われて、仕舞いには落ち込まれてしまう始末だ。

「まあまあ再会できたんだし……」
「……猫被り狩屋なんて嫌いだぁ……」
「……俺は不機嫌な天馬くんでも好きだけど?」
「………………………………………………………………あっそ」

下を向く天馬くんの顔を覗き込みながらそう言うと、天馬くんはふいっ、と視線を逸らした。あーあ、まだ機嫌直んないよ。しかしそう思ったのは一瞬で、直ぐに俺は頬を緩ませてしまう事になる。

「……マサキのバカ……」

だってそっぽを向いた天馬くんの横顔が、良く見るとほんのりと赤く染まっていたのだから。

「……俺は猫被りな狩屋が嫌い」
「うん」
「……でも、マサキは昔から好きだった」
「うん」

カアアアと顔を真っ赤にする天馬くん。名前で呼ばれたことが嬉しくて、彼の言葉に愛しさが増して。その熟れた林檎のようなほっぺたに、ちゅ、と可愛らしい音を立てながら一つリップキスを落とした。

(俺、明日から猫被り止めよう)


改心した幼なじみ


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藍緋様からのリクエスト!幼なじみマサ天でした!

幼なじみらしい所なんてあまりないですが……(^^;)少しでも気に入って頂ければ幸いです(*^^*)

それでは藍緋様、改めましてリクエストありがとうございました!!


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