※南雲がナチュラルにイナズマジャパンにいます


青い空に、白い雲、そして真っ赤に燃え上がる太陽。――絶好のサッカー日和。

きっとサッカー馬鹿の円堂は、今すぐグラウンドを駆け回って、がむしゃらに動き回って、強いシュートをこの身で受け止めたくてたまらないだろう。

サッカーがしたくてしたくて。なのにそれを我慢しなくてはならないのは何故なのだろうか。その理由は、今円堂の目の前で凄まじいバトルを繰り広げている2人にあった。

「円堂は俺とシュート練習すんだよ!!」
「分かってないねぇ南雲クンは、円堂チャンは今から俺とディフェンス強化の練習するんだっつの」
「はあっ!?だからぁ……!」
「ああ゙!?」

俺は円堂とシュート練習をするんだと眉を寄せて言い張る南雲と、円堂は俺とディフェンス強化の練習をするんだと薄く笑う不動。――そう、この2人こそ円堂がサッカーを我慢しなくてはならない原因そのものである。もう何十回も繰り返している会話と、何十分も続く睨み合いにうんざりとする円堂がいるということを、未だに威嚇しあう2人は全く知らない。

「あのー……2人共……俺早く練習したいからさ、先にグラウンドに行っても……」
「「ダメに決まってんだろっ!?」」
「で、ですよねー……」

はぁ、と溜め息を吐いて、またいがみ合いを始める2人を横目に円堂は両手で持っていたサッカーボールをギュッと抱き締めた。そんなにピッタリと息を揃えれるんだったら、仲良くしたらいいのに。と、円堂は思う。何故この2人は毎日のようにこうやって喧嘩をするのだろうか。その大半の理由は自分が関わっている事に、超がつく程の鈍感な円堂が気付く事はないだろう。

「大体お前その"クン"とか止めろよ気色悪い!吐き気するわ!」
「ああ゙?じゃー南雲チャンって呼んでやろーか?」
「な゙っ!……っこの中途半端ハゲ!!」
「んだとチューリップが!!てめぇ今すぐ花壇に埋めてやる!!!」
「南雲ー不動ー……日が暮れちゃうよぉー…………」
「「お前は黙ってろ!!」」

だからそんなにピッタリと息を揃えれるんだったら仲良くしろよ!此方をギロリと睨み付ける2つの視線に、円堂はたまらず叫びたくなった。て言うか何だその小学生レベルの言い争いは。2人共そんなに馬鹿だったっけ?また溜め息を吐く円堂は知らない、2人はれっきとした円堂馬鹿だと言うことを。

途方にくれる円堂を余所に2人は尚も争い続ける。

「……っち、このままじゃラチがあかねぇ……」
「どっかの誰かさんがチューリップなせいだろーが」
「はあっ!?それ関係ねぇし!つかチューリップじゃねぇっつの!!」
「へーへー……ま、そんなどうでもいいことは置いといて……。おい、ちょっと耳かせ」
「あ゙っ?何で「いーから早くしやがれっ」……っち……!」

2人の円堂を巡ったバトルが始まってから一時間程たった頃だろうか。ついに痺れを切らした2人は決着をつけようと不動が提案した手段を使うことにした。まあ、大した事のないものだが。因みに円堂はと言うと、まだ言い争いを続ける2人に呆れてしまったため、2人と少し離れた所で1人リフティングをしている。

「おーい円堂」
「ちょっとこっち来い」

自分の名を呼ばれた円堂はリフティングを止めて声のする方へ顔を向ける。そして目に映ったものに、心底驚いた。だって今の今まで喧嘩をしていた南雲と不動が、睨み合う訳でもなく言い争う事もなく、普通に立っているのだから。すっかり嬉しくなった円堂は、おいでおいでと手招きをする2人の元へとびっきりの笑顔で駆け寄っていく。

「どうした2人共!やっと喧嘩を止めてくれたのか!?」

円堂のキラキラした瞳に、2人はゔっとたじろぐ。残念ながら争いを止めた訳ではないからだ。しかしここでこのまま円堂のその瞳に圧倒されるわけにはいかない。すぅっと息を吸った2人は同時に口を開いた。

「「お前はどっちと練習がしたいんだよ!?」」

重なった声に思わず、バッ!とお互い顔を見合わせる南雲と不動。声揃えんな!てめぇがだろ!気色わりぃーんだよ!うっせー黙れ馬鹿!また言い争いを始める2人の前で、円堂は目をぱちくりさせていた。その2人からの言葉が原因で。

数秒呆然としていた円堂だったが、直ぐにその言葉の意味を理解した。どっちと練習がしたいって、そんな事言われてもなぁ。そんなのもう決まってるのに。一瞬困ったような表情を見せたが、いつものような明るい笑顔を浮かべるとまた睨み合っている2人に声をかけた。

「俺、2人共と練習したいぞ?」

その言葉にまたもや、バッ!と息ピッタリで円堂の方へ顔を向ける2人。そんな2人の表情を見た円堂はまた可愛いらしく笑った。口をあんぐり開けて間抜け面の南雲と、目を見開く不動のなんて可笑しいこと。2人共可愛いなぁ、なんて呑気に思っている円堂は、普段自分がどれだけ可愛いらしいのか、それもまた全く知らない。そういう事でサッカーしようぜ!、と何がそういう事なのか分からないが円堂は期待を込めた瞳で2人を見つめる。が、一向に2人は動こうとしない。………あれ?どうしたの2人共……?一歩近付こうと足を踏み出した瞬間、漸く2人が口を開いた。

「……そ、そのセリフは聞き飽きてんだよ!」
「あー……やっぱり円堂チャンらしいわ」

はぁ、と同時に溜め息を吐く2人は、やはり実は仲が良いんじゃないだろうか。少なくとも今2人が思っている事は同じだろうから。

((それ、この前も言われましたから))

実のところ、前に一度同じような質問した事がある。その際にも、やはり円堂は今回とそっくりそのままの回答をしたのだ。

『俺、2人共と練習したいぞ?』

と、これまた今回と同じような可愛らしい笑顔付きで。

目の前でキョトンとする円堂にまたまた同時に溜め息を吐く2人は、いい加減自分達は本当は仲が良い、と言うことを認めたらいいのに。

とにかく、

「お前がどっちかハッキリさせるまで、」
「今日はサッカー禁止だ!!」

「な、なんでだよーーっっ!!!」

この争いはまだまだ続くということだ。


究極の選択程恐ろしいものはない


結局困りきった円堂が、その日1日中サッカーが出来なかったのはここだけの話。


―――――――――――――

毅壱様リクの明王と南雲で円堂くんを取り合うお話でしたー(^//^)

全然ギャグっぽくないかもです……(´;ω;`)すいません………(泣)

でもすっごく楽しく書かせて頂きました!!不円南ほんっとうに可愛いですよね//ずっと円堂くんの取り合いで喧嘩してたらいいよ君達!!……すいません調子に乗りました……!(T-T)

それでは毅壱様、素敵なリクエスト本当にありがとうございました!!


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