※いろいろパラレル

「今日、練習終わった後さ、不動の家に遊びに行きたい!」

休憩中、木陰で涼んでいた俺の隣に首からタオルを下げて座った円堂の第一声がそれだった。お泊まりセット持って来たんだーとニコニコ笑う円堂にこういうとこだけちゃっかりしてんな…と呆れつつも、いいぜと返事をした俺はホントコイツに甘いと思う。了承の返事を貰った円堂は楽しみだとそこら辺を跳ね回っていた。そんな円堂を見てまた呆れつつもどこか満更じゃない俺がいて、早く練習が終われと何度も思ったのはここだけの話。



で、俺の家へと来た円堂。

練習が終わってから俺達は早々と俺の家へと帰宅路を歩いた。途中でスーパーに寄って今日の晩飯の材料を買ったりしながら。今日の晩飯は円堂が食べたいと言ったカレーだ。

「お邪魔しまーす!不動の家久しぶり!」
「おー分かったから冷蔵庫にさっき買ったもんしまうの手伝え」
「はーい!」

馴れたようにリビングで荷物を降ろし、キッチンへと向かう円堂。俺もその後を着いていく。

「この後どーする?」
「んー…お前、先風呂入れよ」
「分かった!」

はいっ、と円堂がビニール袋の中身を俺に渡して俺がそれを冷蔵庫に詰め込んでいく。途中円堂が何か夫婦みたい…!とか言い出したから卵を落としそうになった。割れねーで良かった…とホッと一息つくと、危なかったな!なんて呑気に円堂が笑う。お前のせいだバカ!とりあえず軽く一発、頭をぶん殴った。

「痛い…」
「もういいから先風呂入ってこいよ!」
「…えぇー…あっ不動、顔が赤「!いいから!とっとと入れバカ!」…はぁーい…」

顔が赤いなんて気のせいだ。トボトボと風呂に向かう円堂にもう一度バカと言っておいた。



「不動!お風呂上がったぞ!ありがとな!」
「ちゃんと髪乾かしたか?」
「うん、バッチリ!……ん?カレー作ってんのか?」
「おー、お前が食いたいカレーだよ」
「…俺も手伝う!」
「へっ、」

カウンター越しに眺めていた円堂が何を思ったか急に手伝う!と言い出し、キッチンに回って来た。丁度材料を切っていた俺の手には包丁が握られているわけで。俺と包丁を交互に見ながらキラッキラした目で貸してくれ!と訴えてくる。危なっかしそうだと分かっていてもそんな目をされたら貸さないわけにはいかなくて、何度も何度も気をつけろよと言いながら渋々と円堂に包丁を渡した。当の本人はうんうんと聞いているのか聞いていないのか、早速目の前にある切りかけの材料達に手を伸ばしていた。ホントコイツに甘くなる自分が情けない。口から大きい溜め息が一つ出た。

「不動!こうか?」
「んー……まあ、良いんじゃね、」
「ホント?」
「お前さ、包丁握ったの初めてだよな…?」
「?うん!」

そうだぜ?と笑う円堂の手付きは意外とマシだった。ほら、何て言うか、もっとこうぐちゃぐちゃになったりとか……まあ、少々形は歪だけれど。それでも予想していたより包丁を使いこなす円堂に内心驚いた。

「料理って楽しいな!……まだ切っただけだけど…えへへ!」
「……………………」

しかしここで安心をしてはいけない。気をつけろと念を押して言ったがコイツは何を仕出かすか分からない。現に予想不可能な行動ばかりする円堂に振り回されてきた。

(頼むから指とか切るなよ…)

楽しそうにニンジンやジャガイモを切る円堂を横目に見つつフライパンに油を引き具材を炒める準備をしていたその時。

「いっ!」
「!」
「いててて……っ指切っちゃった…」

俺の頼みも虚しく早速円堂は指を切った。

「バカ!だからあれほど気をつけろって言っただろ!…見せてみろ」
「うっ…ごめん…」

出された左手の人差し指を見るとそこからは赤い血がポタポタと溢れ出ていた。見るからに痛々しい。

「…チッ…ちょっと我慢しろよ」
「へっ?」
「…(パクリ」
「っ!煤cっ不動!」
「…(ペロッ」
「う、わわわわわ!汚いって!ちょっ!止めろよ!」
「…ひゃまれ(黙れ)」
「ひっ、くっ、くすぐった、い…」

血が流れる人差し指を何の躊躇いもなくパクリと口にくわえると円堂はこれでもかと言うくらい顔を真っ赤にさせた。血を舐めつつ擽ったそうに身じろぐ円堂の様子を楽しむ。あー何この可愛い生き物。暫く思う存分に舐め続けてから口を放すと銀色の糸が円堂の指と俺の唇の間を繋いでいた。

「ふっ不動…!」
「おら、後は自分で手当てしろ。何処に救急箱あんのか分かるだろ?」
「……(コクコク」

首から上を真っ赤にさせて必死に首を上下に振った円堂は恥ずかしいのか逃げるようにキッチンを後にした。付き合ってもう何ヶ月もたつのに指を舐められただけで未だにウブな反応をする円堂が可愛くて仕方ない。そんな円堂を見届け後、ニヤつく頬を必死に抑えながらカレー作りを再開させた。


隠し味に愛情を少々


「おい、出来たぞカレー」
「………」
「いつまでそうして毛布被ってんだお前、」
「だっ…だって不動が…!」
「あ?俺が何だよ?」
「っ〜〜!!バカッ!!不動のバカ!」
「おーおー何とでも、……てかせっかくお前の為に作ったカレー食わねえんだな?了解、俺一人で寂しく食うわ」
「!俺も食べる!食べるもんっ!」
「じゃあ毛布片付けてさっさとコッチこい」
「……不動、」
「ん?」
「………好き!大好き!」
「……っ、知ってるっつーのばーか」


―――――――――――


凪咲様リクエストの不動さんのお家でいちゃラブデートな不円でした!

凪咲様リクエストありがとうございます!とっても楽しく書かせて頂きました(*^^*)やっぱり不円は可愛いですよね!不円は夫婦だと私は信じています(キリッ

本当にリクエストありがとうございました!!
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